当事者について
良一君は、小学5年で不登校になり、小5、小6、中1と、ずっと家の中で過ごしていました。きっかけは、仲間のいじめ、先生が信用できなくなったことでした。良一君が相談した時、先生に「君が強くなれ」と言われたそうです。
良一君に対する先生の指導は、最善の努力をなされているとは思うのですが、あくまで先生の目線からの対応だったのでしょう。主体を良一君にして、良一君の目線で対応していただきたかった。周りの大人たちが考えすぎる気もします。今良一君は、何がしたいのか、何を言いたいのかを感じとって欲しいのです。
家庭環境
両親は、良一君の不登校を治すために新築した家を手放し、自然との触れ合いが大切だと田舎に引っ越したりと、積極的に復学を願い苦しんでいるようでした。人口5万くらいの町に住んでいたのを、良一君にとって学校が大きすぎる(児童数700〜800名)のではと考え、山の中の1クラス5人くらいの学校へ引っ越したのです。引っ越し先は自然がいっぱいで、「分け入っても、分け入っても青い山」という感じです。両親は、ここなら大丈夫じゃないかと思ったそうです。
家族は全体的に、とてもやさしい印象を受けました。
―経過―
受け入れ
県教育委員会からの紹介ということで、2000年12月に自然楽校・未来船に来られました。その時良一君は、あまり話しをしてくれず、大人を信用していないという目をしていました。いじめが原因で学校へ行けなくなったので、元気の良かった良一君が、“おどおど”するような環境に追いこまれたという感じです。
自立回復に向けて
良一君に会い、1日で復学する気がしました。本当は学校へ行きたいという気持ち、情熱が、私には感じられたのです。それで私は学校へ行き、様子を見させていただき、校長室でお茶をいただいて楽校へ帰りました。そして、良一君と一対一で、楽校長(私)の生き方を話させていただきました。