大検を目指して
ゴルフ塾に通っていた時に、初めて僕は、“大学入試資格検定”という制度があることを知った。高校を出ていなくても、大学に進学することができる。それは当時、このまま学校にも行けず、ロクな就職もできず、ひとりでだらだら生きていかなければならないと思い込んでいた僕にとって、大きなショックだった。この資格さえ取れれば大学に行ける。大学に行くことができれば、就職をすることもできる。すごく希望が出てきたような気がした。
今思うと、なんとも単純ではあるけれど、それは不登校になってから初めて感じた“自立の一歩”だった。よし、絶対に大検を取って大学に行き、まともな人間になろうと思った。
2年かけて大検を取得し、大学に入った。家族はもちろん喜んでくれた。父は相変わらずのように見えたが、母は明らかにホッとしていた。僕の目から見ると、これでTもまともになってくれた、と思っているようだった。今までは遠慮していた部分を、だんだんさらけだしているようにも見えた。それがまた、ものすごく不愉快だった。友達に関しては相変わらずだった。喜んでくれただけで、特に何も言われなかったし、聞かれなかった。そんな態度がうれしかったのを覚えている。
とにかく大学に入学できたことは、本当にうれしかった。合格通知を受け取った時は、思わず泣いた。
今だから言えること
自分自身に関しては、やっぱり何もかもに甘え、依存していたんだろうと思う。自分だけが苦しんでいて、しかもだれも助けてくれないから、ってこと。でも、それも仕方なかったと、少し思えるようになった。あの時は、どうしようもなく“疲れて”いたんだと。休養をしていたのかもしれないと。
僕と同じような境遇に悩んでいる人には、どうか希望を持って欲しいと思う。これは、すごく大切。僕にとっては大検だったけど、なにか先につながるかもしれないと思える物を持つこと。それは、自分を前に進ませてくれる、大きな力になると思う。
まあ、無責任にひとつだけ思うことは、生きている限り大丈夫ということ。今すぐは何もできなくても、いつか自分自身が奮い立つ時が来ます。
不登校の子を持つ親の方たちに対しては、現在や将来に不安を持たないで欲しいと思います。その子たちが、きっと自分でなんとかするでしょう。でも、そうは思えないでしょうから、せめて見守ってあげて欲しいと思います。何かするにしても手助け程度で、最後はその子自身に委ねてあげるくらいの気持ちを持って欲しいと思います。
自分も、まだまだ自立途上にあります。照れくさい文章ではありますが、今の僕が言えるのはこんなところです。