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卒業してから、そう素直に思えるようになっていた。そして、その経験は今後大人になっていく上で、私にとって絶対にプラスになるに違いない。そう自信をもって言えるようになっていた。

その後、私は自分の意思で決めた高校に入り、ほとんど欠席もなく高校を卒業した。中学での学生生活を取り戻すが如く、高校生活を満喫したのだ。そして、私はその高校生活の中で、とてもかけがえのないものを手に入れた。それは親友だ。

今こうやって、不登校の期間をきちんと振り返ることができるのも、高校生活をとてもすばらしいものにできたのも、彼女がいたからといっていいだろう。それまで、私のいちばんの理解者は母であった。いや今でも理解者ではあるのだが、母(身内)とはまた違う面での私の支えとなる人と出会えたのだ。

不登校になったおかげで、というのも変かもしれないが、高校で彼女と出会えたのは、私と彼女も不登校を経験したからである。彼女は今でも、私にとってかけがえのない存在だ。彼女との支え合いが、私を高校へ向かわせていた。彼女との対話が、私と彼女をより理解させあった。彼女といると、精神的にとても安心することができた。

 

心の安定が不登校克服のカギ

「心の安定」。それが私を不登校というものから抜け出させたのだ。母が深い愛情を持って見守ってくれたおかげで、安心して自分の行動に自信が持てた。そして、親友がいてくれたおかげで、高校生活をとてもすばらしいものにでき、さらに今現在も彼女と理解を深め合い、精神的にも安心していられる。「自分は絶対にひとりではない!」と、自信を持って言える。

冒頭でも述べたが、「不登校」というものは決して特別な人に起こることではない。どんな環境、どんな人にでも起こりうることなのだ。私の場合は「心の不安感」がもたらしたものだったのかもしれない。その不安感が、少しでも解消された時、少しずつでも前に進めるのかもしれない。

もし今、周りに不登校などで苦しんでいる人がいたら、見守ってあげて欲しい。その人の意思を感じ取って欲しい。そして、そばにいてあげて欲しい。その人が自分から動くまで待っていて欲しい。

そして、今実際に不登校に苦しんでいる人。だれでもいいから、自分の気持ち話せそうな人に、なんでもいいから話してみて欲しい。また話された相手は何も答えなくてもいいから、ただ聞いてあげて欲しい。

「不登校」は決して特別なことではないのだから、「不登校」を経験したということに誇りを持って欲しい。皆が皆、経験できるものではないのだから。そして「不登校」に必ずしも「理由」があるわけではないということを、わかって欲しい。私も「今だからこう思う」ということがたくさんある。「結果としてこうだったのかも?」と、後になって自分でもわかってくるものなのだ。だからスグに「理由」を見つけ出そうとしないで欲しい。ただ、だれかが見守っていてくれることが大切なのだから。

最後に、今現在でもこうして私を深い愛情で見守り続けてくれている母に、心から感謝を申し上げます。

 

 

 

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