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この松浦党は何で松浦海賊衆とは言わないのか、この党というのは一体何かを、ちょっと先に話しておこうと思います。

党というのは、これは中央権力が地方の僻地寒村に住んでいる弱小の武士団に対して呼ぶ時の蔑称なんです。武蔵七党とか、松浦党とか、摂津渡辺党と言います。つまり、山間僻地に住んでいる、どうしようもないやつらというような意味です。それを今、いろんな政党が、やれ自民党だの、民主党だのと名前を付けていますが、これは蔑称じゃないかとおかしく思っています。要するに、一致団結という内容だけをとったんでしょう。それで、松浦党自身は、自分のことを松浦党とは呼んでいません。海賊衆とも言っていないです。結局、よそから呼ばれたんで、仕方がないから松浦党と呼ばせていたのです。

松浦党がどこに住んでいたかと言いますと、これは現在の福岡県の西部、それから佐賀県北西部、長崎県の海岸一帯、そして上限が壱岐で、下限が五島列島と非常に広域です。広域なだけに、この松浦党は正体が捉えにくいんです。恐らく松浦党を題材にした小説は書きにくいから、今までほとんどないと思います。私が今準備をしております。

皆さんは九州をご存じかどうか知りませんが、私は時々、福岡市から車を飛ばして、唐津から伊万里を通って、呼子から松浦市をぬけて平戸に行くというドライブをします。窓外を見るとここに海賊が発生するのは無理もないと思います。

 

 

 

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