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そして、面白いのは、今から海賊に出かけるとか、どこかの大名に頼まれて出かけるというような時には、船大将が何百人か集まって、大三島の広間で出陣万句と称して、一万の連歌を詠むんです。その後に奉納した連歌を書き連ねたものが大三島神社に残っておりますので、ぜひ行ってみられることをお勧めします。これは普通の荒武者じゃないです。

その中で、私が覚えておりますのは、例えば、

 

黒髪を 二人の中に かき寄せて 細くぞ見ゆる 眉墨の影

 

というように、とてもしゃれた優しい歌があります。はあ、これが海賊かなと思って、イメージが変わった覚えがあります。

 

それでは、時間が限られておりますから、今度は松浦党の話に移ります。

私は松浦党の出身です。壱岐の白石といえば、これは間違いないと、自分では断定しております。ただ、うちのおやじたちは、自分のところは海賊だったとはもちろん言いません。平戸藩の家来になっておりましたから、かつては多分そうだったんだろうと思います。

 

 

 

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