気が付いた時には、もう横に寄り添って来ているのです。
昔の海賊と今の海賊が全くそっくりだと思うのは、熊手を投げて甲板にひっかける方法です。昔は縄ばしごを使いましたが、今も同じようなものでスマルというものを使って乗り込んで来ます。武器はちゃんとピストルを持っていますから、乗り込まれたほうの負けということになります。テンユウ号にしろ、アロンドラ・レインボー号にしろ、こういう所で襲われたわけです。
ここでちょっと話が変わりますけれども、この人たちを何と呼べばいいでしょう。まあ、海賊と言えば確かに海賊だけれども、村上海賊衆のように集団的に組織化された海賊とは、まだ言えません。要するに、個々の暮らしが苦しいから、とにかく積み荷を奪ってどこかに売ってやろうと、非常にばらばらに襲ってくる海賊なんです。みんな食うためにやっています。この手の海賊に対する対策が多分一番難しいんだろうと思います。その対策については、後で話をするつもりです。