そして、四国と広島、もしくは岡山との間の距離が、播磨灘辺りからちょっと広くなりますと、これが南北で四十五キロあります。ところが芸予諸島という狭い所になりますと五キロしかありません。ですから、袋のような形の海が、日本の中心に近い所に横たわっているわけです。そして、東のほうは淡路島と明石の間の明石海峡と渦潮で有名な鳴門海峡で閉じられています。西のほうは、いわゆる関門海峡と豊予海峡、豊後水道です。この四つの海峡で東西四百キロの水域がぴしゃっと閉められ、その中に天からばらまいたように三千余島があります。行かれたら分かりますが、本当に美しい所です。私は、半分は取材ですが、既に二十数回行っております。ある外国航路の船長さんにちょっと聞いてみたら、「自分は地中海をはじめ随分行って来たけど、一番綺麗なのは瀬戸内海だ」とおっしゃるんです。「そんなに綺麗だと思われますか」と言ったら、「いや、いろいろ見たけど、瀬戸内海の夕日の美しさはちょっとないよ」と聞いて、本当に意を強くした覚えがあるんです。私は、仕事に疲れますと、ぽっと汽車に乗って三原に行って、三原から船に乗って芸予諸島に行って、大三島とか大島、伯方島に泊まって帰って来るという、そういうストレス解消をしております。