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日本の海賊と言いましても、いろいろあります。九鬼嘉隆を中心とする熊野水軍、伊豆水軍、それから日本海のほうに安東水軍、伊勢には有名な伊勢水軍、そして、もう一つ決して忘れてはならないのは、長崎県西北部にありました松浦党海賊です。この中で、私は日本の海賊を代表するのは二つと考えております。瀬戸内海を中心として、日本の今で言う幹線道路をがっちり押さえて、独立大名の地位を築いた村上海賊衆というのがおりました。これがやっぱり一番逸してはならない海賊だろうと思います。そして次は、玄界灘から東シナ海、場合によっては南洋まで行っていたという松浦党海賊だと思います。この二つの話をしながら、時々マラッカ海賊と似ている点に言及しながら話を進めていきたいと考えております。時間が一時間半ございますので、ゆっくりと話をいたします。まず、この本題に入ります前に、私自身の話をちょっと聞いていただきたいと思います。

 

私は、実は長崎県の壱岐の生まれです。壱岐と言いましても、ぴんとこない方も多分多いだろうと思います。私が高校を卒業して大学に出て行きました時に、友達に出身地を聞かれて「壱岐だ」と答えて、ぴんとくる人はほとんどいなかったです。それで、「ほら、壱岐対馬というのを聞いたことがあるだろう。

 

 

 

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