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今日は、私が海洋文学大賞という大変珍しい賞の第一回特別賞をいただきましたので、これはやっぱりお断りするわけにはいかんだろうと、義理を感じましたので出てまいりました。そういう事情がありますので、話が脱線したり支離滅裂になったりということは、ひとつ覚悟をなさって、嘘つきの雑談を聞くつもりで、ゆっくり気楽に聞いていただきたいと思います。私もできるだけ気楽に話をするつもりでおります。

実は、この講演を引き受けるにあたって、日本財団からマラッカ海賊の資料がたくさん送られてきたので読んでみました。大変面白かったなどと、そんな酷いことは言えないですが、私の実感は、「ははあ、これは日本の瀬戸内海の古代か中世の海賊と一緒だな」という印象でした。というのは、もちろん使っている船も違いますし、武器も違います。それから通信その他の手段も圧倒的に違いますが、この海賊たちの行為というのは、日本で言えば古代から中世の海賊とそっくりです。特にこの中で一つだけ選び出しますと、数ある日本の海賊の中で、恐らく瀬戸内海の村上水軍にそっくりなんではないかというのが実感です。

 

 

 

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