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このように漁業というのは、老舗のところほど潰れていきます。なぜかというと、色々な許可の条件が足かせ手かせになってしまいますので、むしろ制約のない新興地帯のほうが栄えていくもので、過去、そういうことの繰り返しです。ですから千葉県の漁業はこの先、今のままで進むと危ないと私は思っております。

 

【質問】 でもシラスをそんなに獲ってしまったら生態系的に問題ないですか?

 

【平本】 もちろんそれは問題です。しかし無条件で一度許可してしまうと、もうダメなんです。資源管理について研究者サイドから何らかの手立てができるような仕組みを作らないといけませんね。

 

【質問】 日本の漁業の場合は全部獲り尽くしてしまって、管理ができていなかったのですね?

 

【平本】 水産資源の管理というのは大変難しいものです。今まで、人工で種苗を作るなどという話は殆ど失敗に終わっています。うまくいったのは、サケとホタテぐらいでしょう。それもサケなどは技術が確立するまで100年もかかっているわけです。ですから水産庁は、これまでの栽培漁業から資源管理漁業に方針を変えました。

 

【質問】 ハマチにしてもウナギにしても、産卵からやったわけではなくて、みな稚魚を獲って来て、それを大きくしただげですから、本来の種苗ではないんですね?

 

【平本】 そうです。ですから、人手で作った種苗なんか知れています。それからまた、本当に良い種苗かどうかわからないのです。

 

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シラスの水揚げ風景

 

日本におけるマイワシの水揚量の経年変化

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日本のイワシ漁獲量の推移。イワシの漁獲量は数十年周期の変動があることがわかる。

(資料提供:平本紀久雄)

 

 

 

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