日本財団 図書館


1. 侵食とは無縁の広大な砂浜

 

本須賀海岸

 

本須賀海岸は、侵食が叫ばれる九十九里浜で唯一砂浜が広がった海岸です。これは沖へ長く伸ばした片貝漁港の防波堤が沿岸流を遮断したことによる異常堆砂が原因です。本日最初の巡検地であるこの本須賀海岸では、微妙な砂の需給バランスの上に成り立っている砂浜を、こうした人間の開発行為がいかに乱しているのかを学んでいきます。

 

008-1.jpg

広大な砂浜が広がる本須賀海岸。保安林から汀線までの距離は300m近くある。(2001年11月)

 

【宇多】 本須賀海岸に着きました。ここでは非常に広い砂浜を見ることができます。汀線までざっと300m近くはあるでしょうか。しかし、もともとここの砂浜はこれほど広かったわけではありません。

松林の前に車がたくさん停まっている駐車場がありますが、あそこは20年ほど前までは波打ち際だった場所です。いま我々が立っている場所では海水浴シーズンの前に海の家の建設工事をしていますが、以前ここは海の中で、当時の海の家は駐車場の背後の松林の辺りにあったのです。つまり、ここは200m以上も砂浜が広がったことがわかります。

 

008-2.jpg

写真下から上へ向かって流れる沿岸流を防波堤が遮っているため、漁港の北側(写真下)の海岸線では砂の堆積が顕著である。 (2001年9月24日撮影)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION