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実行上の問題点:荷役中に各バージに積載された貨物の正確な水分値の測定や剪断強度の把握が困難であることから、荷役拒否は定性的な(目視による)判断に依存している。すなわち、荷役現場で定量的な計測ができないことに起因して、荷役拒否のための尺度、基準が暖昧となっている。

(c-2-i) 雨中荷役禁止

概要:降雨中は荷役を中断し、貨物に雨が侵入することを防ぐ。具体的には以下の通り。

1] 雨を常時監視する。(昼夜を問わずレーダーによる監視を行う。)

2] 降雨の際、可能であれば降雨の前に、ハッチカバーを閉める。

3] バージ上に貨物のカバーを用意し、降雨の際、可能であれば降雨の前に、バージ上の貨物をカバーで被う。

4] ハッチカバーを開ける前には、船倉に水が侵入しないよう、適宜、ハッチカバー上の水を除去する。また、バージ上のカバーを外す際には、水がバージの中に入らないように注意する。

安全上の効果:船舶及びバージに積み込んだ貨物の水分値を上昇させない効果がある。

実行上の問題点:バージ上に常にカバーの開閉を行う人員を確保する必要がある。

(C-2-ii) バージへの海水打ち込み防止

概要:バージへの海水打ち込みを防止する。特に、貨物を満載したバージには、海水が打ち込み易いため、常時監視を行い、バージに海水が打ち込むようであれば、荷役を中断する等の措置をとる。

安全上の効果:海水の打ち込みによる貨物の水分値上昇を防止し、危険性を増大させない効果がある。

実行上の問題点:荷役中断に至るバージへの海水の打ち込み状況を定量的に示す必要がある。

(c-2-iii) 荷役中の締固め

概要:荷役中に、適当な深さ毎に、グラブで貨物を締固める。

安全上の効果:締固めは、貨物の剪断強度を増す効果を有するとともに、貨物の均一化、ひいては貨物の一部に強度の低い部分が残ることによる荷崩れ危険性の増加防止に役立つ。よって、安全上の効果は高いと考えられる。但し、締固めた際に貨物の表面に水が析出するような状態の貨物の場合は、過度の締固めにより表層の流動化が起きたとの事例が報告されており、必ずしもすべての場合において安全上の効果が期待できるとは限らないことに留意する必要がある。

実行上の問題点:荷送人、特に荷役作業者の理解と協力が必要。

(B-3-i) ハッチ閉鎖の徹底

概要:ハッチの水封を確認し、必要とあれば、ハッチをシールする等の対策を講じる。

安全上の効果:積付後の船倉への水の侵入(貨物の水分値の増加)を防止することは、危険性を増大させないための一つの方法である。

実行上の問題点:ハッチのシールには労力を要する。

(C-3-i) 荷繰り及び締固め

概要:貨物の積付終了時に、貨物の上面を実行可能な限り平坦にするとともに、貨物の上面を押し固めることにより、締固めを行う。

安全上の効果:安全上の効果が期待できる。

 

 

 

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