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気体または固体である危険物を収納したコンテナを隙間のあるハッチカバー上に積載した場合、気体および固体が船倉内に浸入する可能性は大きくない。液体の危険物を収納したコンテナをそのようなハッチカバー上に積載した場合、液体の危険物がコンテナから漏洩した場合には、隙間を通って船倉内に浸入する可能性がある。そのような場合、漏洩した液体の危険物は、船倉内の隙間に近い鉛直線上に積載されたコンテナに達することが考えられるが、隙間から離れた鉛直線上に積載されたコンテナと接触する可能性は小さいと思われる。それゆえ、特別の注意が必要とされるのは、ハッチカバーの隙間近くの鉛直線上に隔離を要する危険物を積載する場合である。これ以降、船の幅方向に隙間から1コンテナ分の鉛直線を“Sensitive vertical line”と言う。以上の理解に基づき、鉛直方向の隔離について次の原則を提案する。

(1) 液体の危険物が収納された基準となるコンテナがハッチカバー上に積載され、隔離を要する危険物との間に「1以上の甲板を介在させて積載する場合を除き、同一鉛直線上に積載しないこと」が要求される場合、隔離を要する危険物を収納したコンテナは船倉内の対応するsensitive vertical lineに積載してはならない。

一般に、ハッチカバー間の隙間の位置は、コンテナ間の隙間の位置に一致する。言い換えれば、一つの隙間に対する“sensitive vertical line”とは、ハッチカバーの上下における“2 row”を指すと言える。

危険物を収納したコンテナを隙間の近くのハッチカバー下に積載した場合、当該コンテナが発火すれば炎は隙間を通過するであろう。そのような場合、炎は隙間近くのハッチカバー上に積載されたコンテナに達するであろう。しかしながら、危険物を収納したコンテナが、隙間から離れた甲板下に積載されていれば、当該コンテナの火災はハッチカバー上に積載されたコンテナには影響を及ぼさないであろう。さらに、隙間近くの甲板下に積載されたコンテナが発火した場合であっても、隙間から離れたハッチカバー上に積載されたコンテナにまで火災が伝播する可能性は小さい。以上の理解に基づき、鉛直方向の隔離に関し次の原則を提案する。

(2) 基準となるコンテナがハッチカバー下のsensitive vertical lineに積載され、隔離を要する危険物との間に「1以上の甲板を介在させて積載する場合を除き、同一鉛直線上に積載しないこと」が要求される場合、隔離を要する危険物を収納したコンテナはハッチカバー上の対応するsensitive vertical lineに積載してはならない。

 

5.2 「1以上の甲板を介在させて積載する場合を除き、同一鉛直線上に積載しないこと」との規定の解釈

上述の原則に従えば、鉛直方向の隔離に係る「1以上の甲板を介在させて積載する場合を除き、同一鉛直線上に積載しないこと」との規定を、部分風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船に適用する場合には、図1-1〜1-6に示すように解釈することができる。

図1-1にパラグラフ5.1(1)に述べた原則を示す。この図に示す「凡例」は他の図においても同じである。この図において基準となるコンテナには液体の危険物が収納されているものとする。図1-2も、また、パラグラフ5.1(1)に述べた原則を示している。この図においては基準となるコンテナには固体または気体の危険物が収納されているものとする。図1-3はパラグラフ3.2に述べた原則を示す。基準となるコンテナがハッチカバーより外側の鉛直線上の甲板上に積載された場合、船倉内の隔離を要しない。図1-4にパラグラフ5.1(2)に述べた原則を示す。この図は基準となるコンテナをsensitive vertical line以外の鉛直線上に積載した場合である。図1-5はパラグラフ5.1(1)に述べた原則において、基準となるコンテナを中央のハッチカバー上に積載した場合を示している。

 

 

 

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