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4 「甲板上のみ積載」

4.1 「甲板上のみ積載」についての基本原則

IMDGコード第7部パラグラフ7.1.1.8の規定よれば、危険物は次の場合に「甲板上のみ積載」を規定される。

(1) 常時監視を要するとき

(2) 特に「近接容易」を図る必要があるとき

(3) 次の危険が現実に存在するとき

(3-1) 爆発性混合ガスの生成

(3-2) 極めて有毒な蒸気の発生

(3-3) 船体に対する発見困難な腐食作用

部分風雨密ハッチカバー上に積載されたコンテナについて言えば、「常時監視」は達成でき、また、「近接容易」も維持できる。それゆえ、上記(1)および(2)の原則は、部分風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船の「甲板上積載」においても満足できる。

上記(3-3)にある「発見困難な腐食作用」についても、クラス8の危険物を収納したコンテナを「甲板上積載」することによる危険性は大きくない。よって、そのような船舶に対する、危険物を収納したコンテナの積載制限を検討するに際しては、「爆発性混合ガスの生成」および「極めて有毒な蒸気の発生」を考慮すればよい。

上記原則(3-1)、(3-2)を考慮すれば、副次危険を含めクラス3およびクラス6.1以外に分類される「甲板上積載」を規定された液体の危険物を収納したコンテナは、隙間のあるハッチカバー下の船倉がII-2/54規則の要件に適合している場合には、当該ハッチカバー上に積載することができる。

 

4.2 クラス3またはクラス6.1の危険性を有し「甲板上積載」を規定された液体の危険物を収納したコンテナの積載

クラス3またはクラス6.1の危険性を有する、液体の危険物を収納したコンテナの「ハッチカバー上への積載」による危険性は大きいが、パラグラフ3.1に述べた通り、容認できるものと言える。それゆえ、クラス3またはクラス6.1の危険性を有し「甲板上積載」を規定された液体の危険物を収納したコンテナは、隙間のあるハッチカバー下の船倉がII-2/54規則の要件に適合している場合には、当該ハッチカバー上に積載することができる。言い換えれば、「甲板上積載」に関しては、パラグラフ3.3に述べた、部分風雨密ハッチカバーコンテナ船に適用すべき「甲板上積載」に関する制限に追加する制限は必要ないと言える。

 

5 部分風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船に適用する隔離要件

5.1 部分風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船に適用する鉛直方向のコンテナ相互の隔離に関する基本原則

コンテナ船におけるコンテナ相互の隔離については、IMDGコード第7部・表7.2.3.2に規定されている。表の脚注に、「すべての隔壁および甲板は耐火耐水性でなければならない。」と記述されている。それゆえ、鉛直方向の隔離に関し、隙間のあるハッチカバーは「甲板」とみなすことはできない。従って、そのような船舶において「1以上の甲板を介在させて積載する場合を除き、同一鉛直線上に積載しないこと」が要求される場合には、追加的な隔離要件が検討されるべきであろう。

 

 

 

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