日本財団 図書館


コンテナに収納された危険物が気体または固体である場合、ハッチカバー間の隙間に起因する危険性は大きなものではない。液体の危険物を収納したコンテナの「甲板上積載」に伴う危険性については、次のとおり評価する。

(1) 液体危険物がハッチカバー間の隙間から船倉内に浸入するのは、液体がコンテナから漏洩し、かつ、漏洩した液体が船倉内に浸入する場合である。従って、液体の危険物が船倉内へ浸入する可能性は非常に小さい。

(2) 漏洩した液体の内の一部のみが船倉内へ浸入すると考えられる。従って、船倉内に浸入する液体の量は非常に少ない。

(3) 甲板上に積載されたコンテナからの液体危険物の漏洩は、船舶乗組員による発見が可能であり、また漏洩による危険を管理することができる。

このように、液体の危険物を収納したコンテナであっても、ハッチカバー下の船倉が危険を管理するための効果的手段(例えば、発火源の除去や適切な通風)を有していれば、当該ハッチカバー上に積載可能であると考えられる。

 

3.2 ハッチカバーより外側の鉛直線上に積載されるコンテナ

一般的に、左右の両舷側端に積載されるコンテナは、ハッチカバー上に載る部分は一部分のみであり、コンテナの大部分はハッチカバー上には載っていない。それゆえ、両側端の鉛直線上に積載されたコンテナは「ハッチカバー上に積載されたコンテナ」ではないとみなすのは合理的であろう。より正確な解釈を要するのであれば、例えば次のように表現できる。

「コンテナの中心線がハッチカバー上になければ、当該コンテナはハッチカバー上にない」ハッチカバーより外側の鉛直線上に積載されたコンテナから液体の危険物が漏洩し船倉内へ浸入する可能性は、ハッチカバー上に積載されたコンテナからの漏洩による場合に比べ非常に小さい。よって、液体の危険物を収納したコンテナは、船倉の仕様にかかわらず、ハッチカバーより外側の鉛直線上には積載可能であるといえる。

 

3.3 危険物を収納したコンテナの「甲板上積載」に関する制限

以上の原則によれば、隙間のあるハッチカバー下の船倉が、液体の危険物の副次危険を含む分類および引火点に応じたSOLAS74条約II-2章54規則(新II-2章19規則)の要件に適合している場合は、液体の危険物を収納したコンテナをハッチカバー上に積載できると言うことができる。

パラグラフ3.2で述べた通り、ハッチカバー上にない鉛直線上には、液体の危険物を収納したコンテナを、船倉の仕様にかかわらず、積載可能であろう。

結論として、部分風雨密ハッチカバーを有するコンテナ船に適用すべき要件には、風雨密ハッチカバーを有する在来型コンテナ船に適用する要件に加え、次の積載制限を加えることが妥当であろう。

「液体の危険物を収納したコンテナは、左右両舷側端の鉛直線上およびハッチカバー下の船倉が当該液体危険物の副次危険を含む分類および引火点に応じたSOLAS74条約II-2章54規則の要件に適合している場合を除き、隙間のあるハッチカバー上に積載してはならない。」

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION