6 貨物固定マニュアル(議題6関連)
事務局提出文書(DSC6/6)に要約されている下記事項についてプレナリーにて審議が行われた。
(1) バラスト水の安全管理
MSC71にて国際船級協会連合(IACS)は洋上におけるバラスト水の注排水作業に関連し、復原力の変動に伴う外力の変化に対し貨物固定マニュアル(CSM)に注意事項を付記するなど何らかの考慮を払うべきではないかと提案したものである。今次会合では新たな提案文書等は提出されなかったが、ノルウェーは環境対策の為のバラストの注排水作業は平穏な海域において行われるのが前提で、貨物に対して外力の変化が影響するような状態で行われるとは考えにくいとして、これを考慮する必要はないと指摘した。
議長は新たな提案も情報もないので次回文書の提出があれば審議すると提案し合意された。
(2) CSSコード付録13の一部改正
本件に関しては独提案文書(DSC6/6/1)及び米提案文書(DSC6/6/2)があり、それぞれ計算方法や最大固縛荷重についてコメントしている。
英はこれらの技術的な問題はプレナリーにて審議するのは困難でワーキンググループの設立を強く提案したが、既に設立が合意されているワーキンググループと振替えるのは困難な為、非公式グループにて審議され次のように合意された。
(イ) ウェッブラッシングに係わる最大固縛荷重の破断荷重に対する割合を70%から50%に変更する
(ロ) 摩擦係数μ=0.2に対するf-values表を新たに挿入する
(ハ) 安全率は1.35及び1.5は、それぞれの状況において使い分ける
(ニ) CSSコードの付録5は適切である
これらをベースにドラフティング・グループを設立しCSSコード付録13の一部改正原案(DSC6/WP6)を作成した。
この改正原案はプレナリーにて合意され、MSC75に承認のため送付されることとなった。
(3) 貨物輸送ユニット内の貨物情報及び貨物の固定
ノルウェーは前回会合に引き続きユニット内の貨物の固定とそれを何らかの方法で証明する必要性を強調した。しかし、小委員会は貨物情報の必要性は認めるものの、新たな作業として取り上げるには再度MSCに対し委員会のガイドラインに沿って新たに提案文書を提出する必要を指摘しノルウェーは同意した。
7 海難・事故報告及びその分析(議題7関連)
(1) 海難・事故報告
事故報告に係る下記の文書が報告された。小委員会はこれらの報告を基に、各事故の詳細な情報を加盟国に提供するDSCサーキュラーを作成することとし、事務局にその作業を指示した。
(イ) DSC5/7(カナダ) 申告されていない薫蒸中の貨物輸送ユニットに関する報告
(ロ) DSC6/7/4(IAPH、ICHCA) 港域における貨物薫蒸及びその危険性
(ハ) DSC5/7/6(ベルギー) 貨物情報が適切に与えられなかったために起こった固体ばら積み貨物の事故報告
(ニ) DSC6/7(チリ) チリ国各港への無申告危険物に係わる事故報告
(ホ) DSC6/INF.6(蘭) 火薬類に係わる事故報告
(ヘ) DSC5/7/3(エストニア及びフィンランド) チャコールに係る火災事故に関する報告
(2) 海難・事故報告の取扱い
バハマより、海難事故報告の取扱いに関しDSC小委員会あるいはFSI小委員会のどちらの小委員会が取り扱うのかという質疑がなされた。
豪、米、デンマーク及び加は、貨物に起因する海難事故の特殊性を考慮して本小委員会にて取り扱うべきである旨主張した。これに対し日本、韓国及びバハマはFSI小委員会にて一元的に取り扱うべきである旨発言した。一方、仏及びブルガリアは両小委員会の協力の下取り扱うことが適切である旨発言した。
審議の結果、本件についてはMSCに判断を委ねることとなった。