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ゼイゼイいいながら、オオウミガメは目をうるませました。

「海底火山がふん火すれば、日本は大地しんや津波におそわれる。しらせてほしいんだよ。日本に電話をかけられるのは、ウラシマタロウとはなしをした、あんたしかいないんだ」

局長さんが、せきこむようにそういうと、オオウミガメは、ほうほうとうなずきました。

「それならば、ウラシマ海洋研究所につないでくれるかね。うまくいかないかもしれないが、せいいっぱい…やらせてもらうさ」

オオウミガメはマイクの前にたちました。

電話がつながりました。

「はい、こちらはウラシマ、ウラシマ海洋研究所(かいようけんきゅうじょ)です」

若い男の人のこえでした。

「もしもし、こちら…海のそこの電話局。わたしは、あなたのごせんぞ…ウラシマタロウさんの友だちだった…オオウミガメです」

「エッどなた?」

男の人は、とまどっているようです。

「だいじなおしらせです。日本の太平洋がわの、海底火山のようすがおかしいのです。どうか、地しんや津波に注意して…それから、オトヒメサマがくれぐれもよろしくと…」

オオウミガメは、声をつまらせて、なみだをポロポロこぼしました。

「もしもし?もしもし?…おかしな電話だなあ。海のそこだって?オトヒメサマが『よろしく』って?これは、いたずら電話だな。だが、太平洋がわの海底火山がどうとかいっていたな…よし、すぐにしらべてみよう」

電話は、ここで切れました。

それから一時間ほどたったころ、ポーンと赤いランプがつきました。

 

 

 

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