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「アメリカから日本への電話です」

エビのおじょうさんが、つなぎました。

「もしもし?さくらいです」

「ああ、きみか」

はずんだ男の人のこえです。

「今、日本のウラシマ海洋研究所からファクスがはいって『太平洋がわの海底火山の活動が活発になっているので、調査のために日本へすぐ帰るように』といってきたんだ。

もう次のジェット機のきっぷをかったよ」

「あなた、ほんとう?ようこのおたんじょう日に、さいこうのプレゼントだわ!」

つづいてまた、赤いランプがつきました。

「日本から南極の昭和基地への電話です」

「オギャア オギャア」

とつぜん、電話局に元気なあかちゃんのなきごえがひびきました。

「おめでとうございます」

と電話線からこえがとびこむと、チョウチンアンコウの局長さんは、むなびれをふり回し、はりきって大ごえをあげました。

「さあ、歌だよ。あたらしいなかまのたんじょうだ。おいわいしなくちゃ」

アジのぼうやとエビのおじょうさんたちはとびはねながら、クラゲやオオウミガメやリュウグウノツカイもこえをはりあげて、

「ようこそ、わたしのかわいい子!」

と何度も何度もうたいました。

すると南極では、電話をかた手に、男の人がひとり、うれしそうにおどりだしました。

 

 

 

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