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いっぽうのナイナイ共和国の大統領は、

「しらナイナーイ、わたしはなーにもしーらナイ。なんだか、ねむたい…いけナーイ。ミサイル?いまはナイナーイ……グーグー」

どうやら、電話の前でねむってしまったようです。

「やれやれ、なんとかかたづいた。

ありがとう。ごくろうだったね」

局長さんがまんぞくそうにいうと、ダイオウイカは、電話線からはなれておじぎしました。

「チョウチンアンコウの局長さん」

アジのぼうやは泣きそうなこえでいいました。

「ケンカがおわっても、なかまのマンボウやイワシやタイたちは、もとにもどらないよ」

局長さんは、いみありげに目をグルリとまわしてみせました。

「あんしんおし、アジのぼうや。ナイナイ大統領の船なら、つんであるものはきまってる。ブイブイの海では、きっといまごろ、みんな目をさましてうちへかえってるよ。ねぼすけのマンボウは、どうだかわからないけどさ…」

「ええっ」

アジのぼうやは、あまりおどろいたのでさかだちしてしまいました。

「つまりね、こういうことさ。ナイナイ共和国には、お酒をつくることも、のむことも『ダメ』という法律があるのさ。『ダメ』なことをしたがるのが人間のおかしなところで、ナイナイ大統領は、お酒をのみたくて、いつもこっそり船ではこばせていたんだ。ところが、その船がこわれてしずんでしまった。つみにのお酒が海にひろがって、海のなかまたちは、のみたくもないお酒によっぱらって、ねむってしまったのさ」

局長さんは、大きな口をパックリあけてゴボゴボとわらいました。

 

 

 

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