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「その船はまさか、油をつんだタンカーじゃないだろうね」

局長さんは、こわいこえになりました。

「もし、黒い油だったらたいへんだ。油をぶんかいするのは、とても時間がかかるんだよ。まったくもう、人間てのはよくばりだから、船がしずむほどなんでもつみたがる。そのてん、わたしらはいつだってからだひとつ、やっぱりみがるがいちばんさ」

局長さんは、ちょっぴり、大きなむねをそらせ、考えぶかそうにうなづきました。

その時、ポーンという音がひびいて、赤いランプがつきました。

「いいぐあいに、ニュースがはいりそうだ。アジのぼうや、ちょっとまっておいで」

局長さんは、そういうと電話こうかん台をのぞきこみました。

「フムフム、やっぱりブイブイ島からだ。

おや、ブイブイ島の王さまから、ナイナイ共和国の大統領への電話だね。さあ、つなぐよ。プラグをこうして…そう、これでよし」

「ブイブイ、わたしはほこりたかきブイブイの王、ブイーノ二十六世であーる」

とつぜんきこえてきたのが、あまり大きなこえなので、電話局の中のみんなはあたまがいたくなりそうでした。

「ブイブイ、きこえておるかね、ナイナイ大統領。ナイナイ共和国の船が、わがブイブイ王国のたいせつな海の公園をこわし、しずんでしまったのであーる。

わが国のそんがいは、まだ計算できていないが、魚たちがそこらじゅうにういて死にかけておーる。

いったいどうしてくれーる」

ブイーノ二十六世は、かんかんにおこっていました。

 

 

 

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