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改質装置を出た排気ガスは、排気タービンと蒸気タービンを複合熱回収装置に入る。この複合熱回収装置は、排気ガスタービンと蒸気タービンを複合させ、駆動力を作り、コンプレッサーと発電機に動力を与える。この複合タービンシステムの構成については次年度の研究課題であるが、排気ガスタービンを主に蒸気を加える方式と排気タービンと蒸気タービンを別個に一つのシステムの中に配置し、コンプレッサー、発電機を駆動する方式が考えられる。今回は分離形として計算したが、分離形の場合、排気ガスタービンの回収エネルギーがせいぜい20kWで、コンプレッサー駆動力を補う事すら出来ない。従って、蒸気タービンの駆動力を利用し、コンプレッサー駆動力と回収エネルギーを捻出せざるを得ない。動力回収として、発電装置を同軸に置けばコンプレッサーと共に動力の変換装置が不要となり、効率が向上する。

 

6.6 天然ガス改質エンジンのエネルギー流れの詳細説明

図6.10に示した本エンジンシステムのエネルギーの流れについて以下に詳細に説明する。

本エンジンシステムはエンジンの総合出力を208KWにした場合、どの様なエネルギーの流れを作製すれば良いかを検討した結果である。

CNGは先ず熱交換器2](熱交換効率80%)に流入し、排気ガスから分離されて流入した二酸化炭素と合流し、20KWの熱を受熱し、燃料改質装置に流入する。燃料改質装置ではエンジンから排出された1050℃の排気ガスから熱を71KW受けて全燃料の約65%が改質される。この改質装置は排気ガスから受熱する熱交換器と兼用され、改質エネルギーを提供する。その熱交換効率を85%とした。燃料は23.7kg/H供給され、その全発熱エネルギー340KWがこの改質装置により409KWに増加し、遮熱エンジンに供給される。遮熱エンジンでは供給空気535kg/Hがブースト圧力0.25Mpaで供給され、ディーゼル燃焼し、その熱効率を43%とすると出力は176KWとなる。遮熱エンジンなので出力以外の殆どの熱178kwが排気され、燃料改質装置に流入する。燃料改質装置では燃料であるCNGと排気ガス中に含まれる二酸化炭素と反応させ、改質させるが二酸化炭素は800℃以上での改質効率が良いが、より改質効率を向上させるためには水蒸気を改質量の2割相当を注入させると500℃でも反応し、その改質率は80%を超える。従って、改質装置に1部水蒸気を加えた。計算ではこのシステムで80%以上の改質率となるがこの計算では改質率を65%とした。この燃料改質装置を出た排気ガスは輻射熱、熱伝導等により、エネルギーを失い約600℃になり、94KWの熱をもって排気、蒸気タービンに流入する。排気タービン側ではタービン効率70%とすると、排気ガスが600℃から480℃になり、約20KWの電力を発生する。このタービンシステムには超高速小型発電機が内蔵され、エネルギー回収の動力は全て発電される。この発電システムには蒸気タービンが同軸に取り付けられ、水がエンジンのオイル熱34KW、蒸気タービン出口に配置された熱交換器4]から44KW、更に排気ガスタービン後流に設けられた熱交換器3]から51KWの熱を受け、合計129KWとなり、高圧、高温の蒸気が作られ、上述のタービンシステムに圧送される。蒸気タービンはその効率を38%とし、計算するとその出力は49KWとなる。すると複合タービンの出力は69kW、変換効率を考慮し、正味65kWが動力に変換され、空気圧縮器への動力30kW、有効動力35kW(正味32kW)が軸に戻される。すると総合軸出力は208kWとなりシステムの総合熱効率が61%となった。

本システムでは燃料の持っている熱エネルギーを如何に有効に利用するかが熱効率向上の決め手であるため、オイル冷却を兼用した熱交換器1]、CNGと二酸化炭素を加熱、冷却するため設けられ、改質装置のガス通路の前後に設置された熱交換器2]、排気タービンから排出された排気ガスのエネルギーを更に吸収し、高圧、高温の蒸気を作製する熱交換器3]、蒸気タービンの仕事が終わった後、多量に持っている熱を水蒸気のエンタルピーを上げるための熱交換器4]をそれぞれ、配置している。

 

 

 

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