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このエネルギー回収、燃料改質システムを以上のように検討すると個々のシステムの性能目標値が明確になると共に以下の開発が必要である。

 

(1) 遮熱エンジンの熱効率を改良するための熱発生率制御の研究

(2) 高効率改質装置の開発

(3) 複合排気ガス蒸気タービンの開発

(4) 高効率熱交換器の開発

 

6.7 試作及び試運転、初期評価

製作に当たっては多くの部品が電子制御加工機によって加工されたので加工に必要なプログラムの作成、加工トライを実施し、最終的には極めて精度の高い部品が完成した。

 

試作した部品は直ちに寸法を測定し、寸法が図面と一致していない部分は直ちに修正、製作のやり直しを行った。

試作したエンジン部品は洗浄、潤滑油の塗布を行い、組み立てを行った。特に積層ガスケットの寸法の調節を慎重に行い、当たりを調べると共に、バルブ類はバルブとシート部の磨り合わせを十分に行い、当たりを確認した後、組み立てに入った。

 

エンジンの試験装置は図6.11に示すように副燃焼室と主燃焼室の開閉に電磁弁を用いたのでその電磁弁を駆動させるよう、非接触式位置センサーを取り付けた。位置センサーは燃料開閉弁の開閉タイミングが調整できるように6気筒エンジンでバルブを駆動していないカムシャフトのカムノーズ部に取り付けられている。其のカムノーズ部分の位置がずれているので、位置を変えたいときにはノーズを変えれば自由自在に開閉タイミングを変えることが出来る。

CNG燃料は主室と副室の燃料供給装置に連結するように接続したが供給圧力が一定になるように10Lのアキュームレーターを取り付けた。副燃焼室には電磁弁を駆動して燃料弁を開弁し、副燃焼室に天然ガスを供給するようにし、その圧力制御により燃料流量を変える。主室への燃料供給は吸気管に取り付けたきのこ形の開閉弁の作動させることにより行う。開閉弁の解放期間と弁のリフトを変化させることにより、燃料流量を変化させ、エンジンの負荷制御を行う。この開閉タイミングはカムシャフトに設けられた所定のタイミング期間を示すノーズを選定し、最適期間を選べるように各種設けた。

排気管にはEGR(排気ガス再循環)が出来るようにEGR管を取り付け、吸気管へのバイパス管を取り付けた。CNGエンジンでは予混合圧縮着火ディーゼルの可能性を調査することを目的としているので主燃焼室、副燃焼室への燃料供給量を調整することが大切である。主燃焼室では希薄予混合気が形成されているので燃焼の核がないと燃焼が進展しない。副室での燃焼は主室に対して燃焼室容積が15%ほどの副室に濃混合気が充満している状態の中に温度の高い希薄混合気が進入し、着火し、一気に燃焼が進展するのでその着火エネルギーが余り小さいと燃焼の進展エネルギーが不足し、燃焼が継続しない。その安定燃焼に必要な燃料分配率を決めるべく、燃料系の圧力に注意しながら試験を開始した。(図6.12)

 

試験はまずエンジンの構成部品に馴染みを持たせるためになじみ運転を実施した。(写真6.6)

CNGエンジンの始動は何時も苦労するところであるが今回はアメリカの大型トラック運転手が寒冷時に良く用いているエーテル封入によって行われた。本エンジンシステムのベンチ動力計には駆動用電動機がついているがその駆動力が5KWと余り大きくないのでスターターを併用して駆動力とした。

エンジンはクランキングの後始動させ、運転に入った。性能試験運転は100時間の慣らし運転後、始めることとし、早速慣らし運転に入った。慣らし運転の条件は全負荷時の燃料流量に対して1/4、回転数は1000RPM(一定)、油温80℃とし、12月7日現在で53時間を経過した。

 

 

 

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