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λ1R:積層材全体の熱伝導率

λ1:積層材の材料熱伝導率

n:枚数

 

前式によると、10枚積層すると積層材の熱伝導率はその材料熱伝導率の1/10に減少する。

従って、上記の考え方により遮熱エンジンの放熱計算を実行した。

その結果、放熱量は以下の様に計算された。

032-1.gif

この計算結果を総計すると、1,765Kcal/hであり、元の冷却エンジンの冷却水放熱量が4,730Kcal/hであるので、このエンジンの遮熱率は次の様になった。

032-2.gif

遮熱率70%以上を目標値として設計したが結果として63%となった。この計算結果では、シリンダーヘッド上面、副燃焼室からの放射熱が多いので、この部位の熱流の遮断をする必要がある。しかし、この部分はバルブの摺動部を持っているので、余り遮熱すると摺動部の温度が上昇し、ステック等が発生するので、今後遮熱と摺動特性を確かめながら最適の遮熱構造を選定する事とした。

 

6.1.2 魔法瓶構造燃焼室

(1) シリンダーヘッドライナーの遮熱構造

従来形エンジンの燃焼室を構成する部位の中で熱放散が最も多い場所はシリンダーヘッド上面とシリンダー上部、ピストン等である。この部分の遮熱を徹底的に実施しないと遮熱エンジンを構成できない。従って、シリンダーのファイヤーデッキとシリンダーライナー上端部を一体構造としてヘッドライナーとし、ファイヤーデッキ部は爆発力を受けるので、積層ガスケットをシリンダーヘッド部に挟み込む。ヘッドライナ−のシリンダー側外周には、空隙を設け、位置決めのため、中空リングを巻き付け支持する。

ヘッドライナー上面部の積層板は7〜10枚とし、熱流束を減少させるが、シリンダーヘッド面の熱伝導面積を小さくする事も有効なので、構造上必要な部分を除いて内抜きを実施した。(写真6.1)

 

 

 

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