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そういう意味も含めて考えますと、相当違う発想をしていかないと目標設定の議論が国際的に収れんしない可能性があるということが1つあるということを申し上げたいと思います。

それから、もう1つ先ほどちょっとマージナル・コストの話があって、確かによくおっしゃることはわかるんですが、もう1つぜひ社会科学の先生方にご研究いただきたいと思いますのは、経済的にあるモデルを使ってコストを予測するというのはできますが、実際は世の中ダイナミックに動いているわけでして、例えば技術革新、時間的にそれがどう進むかというようなことの要素をどうやってそこに組み込んでいくのか、そこは非常に変わるんだと思うんですね。

ですから確かにEUの主張しておりますことは、竹中先生がおっしゃいましたようにプレファランスもあると思うんですが、他方で厳しい目標を設定して進むことによって、技術革新がかなり進む可能性がある。そして、温暖化というのは、確かにDさんがおっしゃいましたように2010年ごろを目標に当面は進んでいますが、それだけではなくてまだまだ先もずっとあるんだということを考えると、中長期的にやはり技術革新をどんどん進めたほうが有利かもしれないという面もあると思うんですね。

ですからなんといいますか、環境保全というやや漠然と抽象的なものを選考しているということだけではなくて、かなりそういう面も見据えて、一見、現在の経済分析ではコスト的にみるとちょっとおかしいという選択かもしれないが、今あえて厳しい目標を立て、国内的な対策を重視するというほうが、技術革新を進めて中長期的にはかえってプラス面もあるというような判断も若干はあるんじゃないかという感じがしております。

ただ、そのあたりを実際に例えば経済学的にどう評価して、政策分析に役立てていくのかということについては、恐らくまだこれからなんだろうと思いますが、これからのいわばそういうソーシアル・サイエンスからの貢献という面では、ぜひそういうところもご研究いただけたら大変ありがたいなあというふうに日ごろ感じておりますので、ちょっと素人の妄言かもしれませんが一言申し上げておきます。

 

D 余計なことで、1つ技術革新の話なんですが、エネルギー技術革新、R&Dへの投資というのは、ほかの先進国はほとんどこの10年間落ちているんです。アメリカのR&Dなんかすごくドラスチックに減っているんです。

 

 

 

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