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B そうですね、結局はいろんなアイデアはもちろんあったわけですね。95年にしたらどうかとか、あるいは極端にいえばちょっと将来をみて2000年ぐらいにしたらということもあったんですが、やはり90年ベースというのが長い間客観的にみると主流、主流というとおかしいかもしれませんが、多くの方が念頭にあった、あるいは主張されてきた目標で、そういうことが多くの国の交渉者の頭にあったということで、やはりそれを最終段階でいきなり違う基準年次にするということは、結果的に非常に受け入れられにくかったですね、そういうことだったと思います。

やはりですからそういうことを本当に実現するために、長い間時間をかけてそういう考え方を浸透させていかないと、やはりある時点で急にそういうことを転換しようと思っても難しいことだと思います。

 

川口 あと、実は私はまたいずれ将来このあたり勉強してみたらおもしろいだろうと思っているんですが、条約の段階ですでに90年と2000年ということになっていますよね。条約の段階が多分90年というところに引っ張られたところがあるんじゃないだろうか。そうすると条約でどうして90年になったのかという話があるわけですが、これは恐らく90年ごろワシントンで、ホワイトハウス会議があってから条約ができる間のブロセスで、どういう議論があったか、そのころは本当に90年のころですから、データとかいろいろ80年代までさかのぼってということをあんまり考えなかったのかもしれないし、少し勉強してみると興味深いテーマだろう。どなたかにいつかやっていただくといいんじゃないかというふうに思っています。

 

C 慶應大学のCです。私環境のことはまるで素人なので、今の議論の背景を十分理解していないかもしれませんが、どこかの時点の現状の各国の生活様式をもとにして考えるとして、それでもなおかつ世界全体の削減を効率的に実現しようということであれば、普通経済学の教科書に書いてあることは、マージナル・コストを等しくするようにしなければいないということだと思うんですね。

それでマージナル・コスト、そのコストを誰が負担するかは別問題ですが、だから仮に90年がべースであっても、その日本でこれだけ削減するためにこのくらい費用がかかって、ヨーロッパだとこのくらいかかる、アメリカだったらこのくらいかかる、あるいは途上国だったらこのくらいかかる、だから例えば京都議定書が大事だということなんですね。

 

 

 

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