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同時に京都メカニズムの意義というのは、世界全体としてアンブレラ・グループ流の市場原理を通してという考え方をすれば、世界全体を通してこれは温暖化ガスというのには国境はありませんから、一番原価費用の安いところで削減活動をやっていって、その方が多分同じお金を前提にしたならばより多くの削減ができるのではないかという考え方でもあるわけです。それでEUは京都メカニズムについて、どこまで使っていいという上限をつけようということを言っています。この上限はいろいろな考え方がありまして、最近ではこの前ベルゲンの会合をやったときに、ドイツの環境大臣が言ったのは、50%までこの京都メカニズムを使っても、残りの50%は国内的な措置ということで言っていますが、いずれにしても数量できちんと上限をつけようと言っています。

これに対してアンブレラ・グループというのは、京都メカニズムというのはもともと補完的であるということは、京都議定書にも書いてあるのでそれで十分ではないかということを言っていて、数字に上限をつけたりしますと企業が参加をしてそれを使おうというときに制約になる。全体としてとにかく大半が国内措置、省エネとか、フロンを削減しましょうとか、そういうことを言っていれば十分でしょうということでして、そのへんでマーケット・メカニズムにどこまで制約をするかということで、アンブレラ・グループとEUの考え方が違うということです。

それからもう1つ例で言いますと、シェア・オブ・プロシィーズという議論があります。京都メカニズムを使った場合に一定量を、一定金額を手数料としてプールして、例えばそれを途上国の支援に使おうという意見があるんですが、アンブレラ・グループというのは、例えばある企業がどこかの国で省エネ活動をするようなことをやったとして、その一定量が巻き上げられてしまう、手数料として取られてしまう。これも低ければいいんでしょうが、いったんそういうことを導入しますと、どこまであとで高くなってしまうかわかりませんから、そういうことでシェア・オブ・プロシィーズというのを、手数料を取るというようなことは、民間企業が削減活動をするのにやりにくくなるからやめようじゃないかという意見。EUはそれをやるべきだという意見。そういうところで、市場メカニズムの活用についての考え方が違うということです。

 

 

 

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