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上院の決議ですから強いわけですが、これはバインディングなレソルーションではないので、無視することは形式的にはできるんですが、では実質的に無視できるかというとやはりそういうことを言っている上院の力関係というのは、変わっていないわけですから、その上院の決議で出てきたことというのは、恐らく当分続くであろうというふうに思います。

私は半ば冗談でアメリカの代表の人には、選挙が終わってからCOP6があるんだから、副大統領ぐらい送ってきたらどうかと、アメリカに対する途上国の不信感というのは特に強いのでということを言っていますと、意外にそんなことが起こるかもしれないねということを向こうも冗談めかして言ってます。COP3で私もこれは本で読んだだけなんですが、COP3でかなりアメリカの態度が前向きになったということはゴア副大統領が来て、かなり事務方を動かしたということがあるようでございます。ただどうもアメリカ人に話を聞いてみると、それのむしろ結果としてアメリカは京都議定書でやったことについてのアメリカ国内での反発が強くてということも聞きますので、アメリカが全体としてどういう判断をするかもわかりませんし、どちらが勝つかよくわかりませんが、そういうことでアメリカは途上国に対しては、将来的に必ず議定書に参加をして削減を約束してもらうということが必要だというふうに考えているわけです。

それはなぜかというとこの資料2というところにありますが、これはIPCCのシナリオの先ほど申し上げた第2次報告書のシナリオの1つでして、先進国と途上国の排出量が炭素換算で出ています。2010年ごろに途上国の排出量の総量が先進国のそれを上回るということになるわけでして、現時点で1国でいいますと、例えば中国は日本よりも排出量が多い状況にすでになっているわけで、1番多いのはアメリカ、2番目に多いのは中国ということでして、日本よりも中国のほうが多い、1人当たりにすればもちろん中国のほうが日本より少なくなりますが、ということになっています。

ということで、これは世界の環境のためにはどこかの時点で、途上国が何らかの形で参加をすることが非常に重要だということです。ということはアメリカがかなりはっきり言っているということでございまして、そういう意味でアメリカの対応は、ほかの先進国のなかでは特異でございます。ちょっと時間もかかってしまいましたので、南北問題はこのへんで終わりにしたいと思います。

従って、COP6で南側に対して北側が何らかの格好で条約で約束している支援をやりますということを言って、それが南の国から、それならば少し前向きに京都議定書のメカニズムとか吸収源とかそういうことの議論をやりましょうという態度にならないと、極端な場合COP6は初めから止まってしまうという危険性があるわけです。

 

 

 

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