日本財団 図書館


それでオゾン層のときは、これは考え方として入っていましたが、文言としてはあまりはっきりきちんと入っていなかったわけで、調べてみたらもっとオゾン層の破壊が進んでいたということでして、今最終的に本当に温暖化するのかどうかという議論がありますが、気候変動枠組条約の考え方では、そういうふうになってしまったということが明確になった段階では、もう手遅れであるので、予防的に手を打ちましょうという考え方で、これは条約にも明記されているということです。

それで2番目の南北問題としての温暖化問題というところに入りたいと思いますが、私はいろいろな方にお会いするたびに、COP6というのは基本的には南北問題でありますということを申し上げています。それでCOP3、京都でやった会議が、先進国同士が何%削減をするということをコミットをする場であったということですので、主たるプレーヤーがEUですとか、アメリカですとか、日本ですとか、先進国だという意識が非常に強くて、まだ多分日本人の多くの方が先進国同士で話がまとまれば、うまくいくんではないだろうかというふうに思っていらっしゃる方が多いのかもしれません。先進国の動きを一生懸命フォローしている、それが目に入っているということは南北、南の国がどう考えているかということについての意識が、少し本来そうあるべきであるより薄いんではないだろうかというふうに思います。

それでお配りした紙の最後の資料3となっていますが、見ていただきますと、アンブレラ・グループ、EU、途上国と3つ書いてありまして、それでこれは一応今京都議定書の交渉グループは、3つのグループに分かれて交渉をしています。アンブレラ・グループというのも何でアンブレラなのかというのを私は最初にこの話を聞いたときに、何でアンブレラなのというふうに言いましたが、これもある経緯があってEUが1つのグループとしてまとまっているわけで、EUがグループとしてまとまっているがゆえに、ほかの国がもっていない非常に大きなメリットを京都議定書上ではもつに至っています。

それは例えばどういうことかといいますと、ほかの国は端的にいってしまえば、1国が例えは日本は6%、それからアメリカは7%という削減目標があるわけですが、EUはグループとして8%ですから、EUのグループのなかの15カ国の1国、1国は削減目標をきちんと守られていなくても、EU全体で保険が掛かっている。EU全体で例えば1国が15%マイナスしますということがうまくいかなくても、ほかの国がどこか削減するところがあれば、その分楽をすることができる、とがめられなくてすむということになります。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION