実際にまだ20人になっていないのかな、でももうじき20人になるぐらい常勤化してもらっています。この人たちが、ありがたいことに「私民間でこういう悪いことしていました」って言うんです(笑)。
ですから、ジョン・F・ケネディーの親父さんのジョーセフ・ケネディーがウォールストリートで活躍していた。それをフランクリン・ルーズベルトがSECの長官にした。で、アメリカの議員が、あるいは関係者が「あいつをやるな。あんなやつにやらせるな。あいつはウォール街でなうてのやつなんだから」と。それに対して、フランクリン・ルーズベルトが、「いや泥棒を捕まえるのは、泥棒に捕まえさせればいい」と(笑)。私はそれを実行してはいませんけども、そういった人が加わってくれて、「こういう点を検査しよう」と。「別に悪いことをやっていたというだけじゃなくてね、民間にいるとこういうことがこうなっちゃうんだ」と、だからパブリック・セクターが見るときにはここを見ようと、そんなような意味でもって大変刺激を与えてくれています。
もう1つ、我々どちらかというと、検査官というと現場で鍛え上げというイメージが強かったんですが、公認会計士の人に最初の年に5人入ってもらったんです。で、今逐次変わっているんですが、その人たちがいわば公認会計士として企業全体をバランスよく見る。最後はうちの検査官のほうが細かいに決まっているんですが、いわば木を見て検査をしていたのかもわかりません。公認会計士さんが企業全体を見てくださって、こういうことがある、ああいうことがある、最初の1年間は公認会計士グループVS検査官という感じがあったんですが、その2年目、3年目になりまして、非常にしっくりいくようになってきた。そういう意味では量的にはまだまだ足りないんですが、質的にはおかげさまでいいところにまできている。
ドイツのフランクフルトに行っていろいろ聞いてきましたが、ドイツ連銀というのは、金融政策はもちろんやっているし、それから日銀と同じように考査というのやっていたわけですね。ドイツの銀行自体の監督というのは銀行監督委員会というのがあるんです。そこがやっているんですが、ドイツの場合には検査官はどちらかというと少なくて、監査法人が出してくれたステーツメントの内容を審査して、さらにほじくっていくというやり方でやっていたんですが、クレディ・スイスの検査を見て、どうにかしなければならないと彼らが思っていたってことと、ブンデスバンク(ドイツ連邦銀行)が金融政策の仕事がECBにとられちゃったのでやる仕事が半減してしまったということで、ブーバー(ブンデスバンク)は地方の支店というんでしょうか、エッセン州・ブーバーとか多分あるはずなんですが、そういうところのを全部こうやると全部で1万5千人いるそうなんですよ。