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つまり、民間企業の設備投資が出なければ、そこの帳尻が合わなくて結局お金を扱うのは財政部門しかない。で、その国債を発行して銀行が埋めると、グルって回っていると思うんです。となりますと、一体どういう格好で銀行は収益を上げていくのかというイメージが、今申し上げた大企業の行動との関係で今ひとつつかめない。比喩的に言いますと、持っている貸し出し残高というのは、端的に言うと中小非製造業のあまり質のよくない残高だけがどんどん残っているんじゃないのかという感じをもつんですが、そこはどんなふうにみておられますか。

 

浜中 多分イエス・アンド・ノーだと思います。去年の公的資本の注入の直後に、地方銀行協会の開く会合があったんでそこへ出かけて行って、公的資本の注入のときに、中小企業貸出を高めるというのを同時に約束してもらったわけですね。そういうことでございますので、地方銀行の皆さんこれから皆さんの得意としておられ、育ててこられたような有力中小企業が都市銀行の攻勢にあうかもしれませんよと言ったらずいぶん叱られたんですよ。叱られたんですが、多分そうなるだろうと思っていたら、今そうなっていますね。

だから、有力中小企業に対して都銀がなんであんな安い金利でもって融資できるのだろうか。こっちは一生懸命育ててきて、高い金利をとろうと思ったところが全部とられてしまってとかいう指摘でもって、また私叱られているんですがね。

何というんでしょうか1つ2つありまして、そういう意味でいわゆる大企業の大銀行離れが今後も続いていきますから、そういう意味でキャピタル・マーケットをいろんな意味で整備していかなければいけない、これはもう事実だと思います。あるいはインベストメント・バンキングに近いことを銀行がやるべきだというお説の方も、大抵は今みたいな現象をもとに、ローンという形ではなくて社債とか、いろんな形でのサービスを提供する、そういうインベストメント・バンクになるべきだという考え方の方が多くてそういう議論だと思うんですね。その分は非常に正しいと思うんですが、じゃあ一方で、アメリカの銀行もかつてたどったんですが、銀行はどこで儲けるかというと、中小企業で儲ける。

そのときに、優良な中小企業をどうやって選別し、育てていくかということになるんだと思います。ですから健康な方向に向かっているか、必ずしも健康な方向に向かっていかないか、ここが非常に重要なことなんですが、今そういうところの入り口に金融機関がようやく到達した。

 

 

 

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