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銀行の体力が傷んでいる。そこに不良債権償却を迫る。そうすると自己資本が減る。そうすると8%の逆数である12.5倍のほうが減る。どうしても貸し出しできる余力が減っていく。一方で金融機関に依存する人が多い。これを増やしていかなきゃいけない。こういう状況でございますので、この数字をどういうふうににらむかですね。ある論者によれば、間接金融機関はこれからは滅びるべく…、とまでは言わないんでしょうけれども、もっと役割が小さくなるべきであると。仮にその説が正しいとすれば、これが100%じゃなくて、70%、80%になるのが当たり前だということが世の中いいことだというふうになってしまう。そういうふうにやや極論を申し上げているんですが、そう考えてもいい。

一方で貸し渋り、これはとんでもない。貸し渋りのない状態にしろと。悪い債務者の場合にはこれは当然貸さないでしょうが、いまひとつのところの努力が、金融機関が貸してくれないためにこんな目に遭っているという方も確かにいらっしゃいますから、そういうことを考えるとこのグラフは下がっていかないほうがいいという論者もいらっしゃると思います。

あえて先ほど早めに申し上げましたが、私は直接金融の方向にこれから向かうと思うものの、そう単純にはいかない。89年、90年ごろのいわば実質ゼロ金利のワラント債とか、転換社債を出した人たちが、もう1回このマーケットに戻ってくるにはかなり時間を要する。キャピタル・マーケットが信頼されるためには、恐らく大変な努力が必要で、それは私たちがやらなければいけないことでもあるんですが、そう簡単に「キャピタル・マーケットがありますから間接金融はほどほどに」ということにもなかなかいかないかもしれません。

そして右側のグラフが、これが非常に悩ましい話なんですが、例の信用保証の20兆円、それが去年ですか30兆になったということで、民間融資残高に占める信用保証の比率が今10%になんなんとしている。通産省もこういうことに依存してばかりいてはいけないということで、今回も新聞でご承知だと思いますが、もう特別保証はやめたいと。これは2年間しかやらないといってやったんだから、やめたいという話なんで、それはある意味では社会、世の中のけじめという意味で、大変重要なことだと思うんですが、一方で急にはずしたら何が起こるかわからない。

 

 

 

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