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そうであればなおさらのこと、銀行株というか、銀行自体をよくしていくということを地道にやっていかなければいけないということがわかるかと思います。まあ。自分に言い聞かせているようなものでございますが。

4ページは皆さんの参考のためにちょっと載せましたが、これが公的資金による資本増強の今日までのところでございまして、一番腐心しましたのが平成11年3月12日承認分の7兆4,592億円分のものでございますが、実は皆さんご承知の通り、平成10年の2月というか3月に第1回の資本増強が行われました。当時は大蔵省としても、公的資金に本当に頼るべきだろうかという意味の迷いももちつつ、しかしさっきも申し上げましたようなストックを使い果たしてしまったという状況でしたから、資本増強をお願いしたということになるわけなんですが、別に私佐々波先生にお世話になっているからというのではないんですが、大変ご苦労されたし、ご苦労されなければいけない理由もたくさんあったと思うんです。

環境がよくなかったですよね。みんなで一気に佐々波委員会を支えて、そして私たちがやったときでさらに足りないというご指摘をいただいたのもわかりますが、例えば頭取の首を切っちゃえとかね、なかなかそんなことは実は平成11年3月のときも難しかったんですが。平成10年3月のときの環境をお考えいただくと、環境ばかりを理由にしてはいけないかと思いますが、とてもそんなことができるような雰囲気でもなかった。大変進んだ方はそういう意見をおもちだというのはよくわかるんですが、この1億2千万人の日本国民を説得しながら物事を進めるということからすると、大変難しい状況だったと思います。

そうは言ったものの私としても、ちょうど2年ぐらい前でしょうか、我々も反省すべきであると。この平成11年3月の資本注入にあたっては私たちは、かなり突き放したやり方をする。自分たちでどういうふうにこれから進んでいきたいのか、自分で考えてそれを我々に見せなさいと。皆さんよくおわかりだと思いますが、えてしてこういう行政のプロセス、あるいは政治もそうじゃないかと思いますが、「じゃあどういうふうにさせていただいたら一番よろしゅうございましょうか。ご指導いただくままに申請して、いくらでも資本注入していただきたい」と。これが普通の日本人の会話のパターンだということはおわかりだと思うんです。それに対して私はやや冷たく、「それは頭取のあなたがお考えになって言ってください。私たちはそれが×だか△だか○だか、場合によってはお花マークだか言います。私たちはそれを言うのが仕事だと思って、あなたがこんなふうに資本注入されるといいですね、ということは言いません」と。

 

 

 

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