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それをどうして壊すかということでデザインしてみたんですが、結局、怒られるかもしれないけれども、この辺で止まってしまった。もう一つ高いところから書き直すときが来るんじゃないですかね。外交戦略なんてものは外務省でやるもんじゃないですよ。

ですから、橋本内閣の前半で、沖縄で劣化ウランの爆弾の話が出てきましたね。総理大臣も官房長官も一切知らなかったんです。本当に知らなかった。外務省の一部と防衛庁で内緒にしていたのでしょう。だから、沖縄のすそ野であった大変な問題が突然官邸に入ってくる。新聞で書かないと知らないようになってるんですね。

 

C もう一つ水野さんにお伺いしたいんですが、こういうふうな行政改革とか、省庁の統廃合というのは、ある意味で時の勢いでもって動きだしたわけですよね。そこには、ずっと今までやらなきゃいけないと言いながら棚ざらしにされていたということがあったとしても、これを担って、今動かしているのは誰なのか僕たちはよくわからないんですよ。大きな動きは何となくふわっとした雰囲気の中で出ているんだけれども、また時がたつと減衰するわけですよ。なぜ減衰するのか、だれがさぼったのか、どこが力がなくなったのかよくわからないんですね。何となくムードで動いているんだけれども、これをやっている部隊というのはこういうところで、水野さんがやってて、Dさんが少し知恵を貸しているというのはふわっとわかるんだけれども、ではだれが責任をもってやっているのかというと、何か成り行きでいろいろ動いてはいるんだけれども、どこに進めようとしている中核の力があるのかというのがわからない。

 

水野 ないんですよ。そう言っちゃ悪いけれども、小渕内閣になってからなくなってしまったんですよね。総理大臣は説明するとよくわかってくれる人なんです。だから、私は今、堺屋太一を通じて「こういう問題があるよ」と、連絡もしてみました。

例えば、この間の雇用対策で5000億円を補正予算で組んだんですが、労働省の職安というものはあの5000億円の金をちゃんと有効に使えないんです。職安局というもの自身がだめなんですよね。何のためにあるかわからない。しかし、職安のカウンセリングを経ないと失業中のいろいろな助成金がもらえないんです。規制緩和で少し民間のそういう会社ができましたね。僕は知らなかったんですが、あれは職安単位にしか動けないんですね。

 

 

 

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