水野 一つはやはり、これから総理大臣になるべくしてなるという人が今の政治家にいるかなと思いますが、総理大臣がどう運用するかということです。それに限りますよ。
C 今は、諸外国というか、特にアメリカを中心に、いろいろな形でもって世界戦略が取られているときに、今こそ国家的戦略性と言うとちょっと問題かもわからないけれども、もう少し行政としてトータルな戦略性を持たなきゃいけないわけですよね。今それをそこそこの人たちはみんな感じているのに、それを体現化するような動きとか、担っていくような人々が今いないじゃないですか。現実の政府の姿になって現れてこなければ力にならないんですよね。
水野 おっしゃるとおりだ。ですから、確かに外交戦略を外務省に任せるなと。例えば、きのうも人質で総理大臣が外務省の本部に行くんでしょう。
僕が行革会議をやっている最中、ペルーの事件で橋本さんがトコトコあんパンを買って行くわけですよ。「何で総理官邸で聞かないんだ」って。「いや、電報、通信は外務省の所管である」と聞かないんですから。「内閣にある」「いや、そうじゃない。外務省を通じて内閣に申し上げますから、決して外務省に本部があっておかしくない」「そんなばかなことあるか」と。
それは、今の官邸は狭いからだめかもしれんけれども、今度官邸を新築したら、ああいう事件があったら、本部は内閣に設けろ、外務大臣がそこへ出てくればいいじゃないかと。外務省の報道官も担当者は、そこに出てきて本部をつくるべきではないかという話をしているんです。例えば、韓国で朝鮮半島で何かあるとなったときに、外務省へ行っての話じゃなくなってきますよ。まあ、キルギスは4人だし、ペルーだってしれてますからいいんですが、ああいうのをテストケースとして基本的に考えなければいけないんですよ。
それから、危機管理監の安藤忠夫氏なども金ナシ、権力ナシです。気の毒です。僕は非常に彼と若いころから親しかったんですが、これは話を聞くとびっくりします。この間テポドンが飛んだでしょう、それで「あなたのところに何時に連絡あった?」「いや、私のところには正式にまだ連絡ない」という(笑)。「どうしてだ」「あれは軍事だ」って言うんですよ。「防衛庁は軍事だから、警察官僚に言う必要はないんだ」「だって君、岩手県の山の中にテポドンが落っこったら山火事になるでしょう」「だから、そのときに教えればいいんだ」ということのようです。内閣官房の中というのはそういう縦割り、出身省庁別の感覚ですからね。ひどいもんですよ。