二番目に、目的別の大くくりをしたということであります。これは、非常に毀誉褒貶があります。特に、国土交通省みたいな大きなものをつくっていいのかということ。
これは、ある時フォーリー大使に言われたのでびっくりしましてね。大分前ですが、行革に熱心な民間の方々と朝食会をやりたいというので、宮内さん、諸井さん、西崎哲郎さん、高原須美子さん等々大使公邸に呼ばれたんです。その時フォーリー大使が、最初に「こんな大きな役所をつくってどうするんだね」と言ったのには驚きました。この人はなかなかいい勘しているなと思って聞いていました。
本来、国土交通省の河川局は、農水省の構造改善局や通産省の工業用水とか、厚生省の飲料水、上水なんかと合わせて、私は水資源庁みたいなものをつくろうと思っておったんですが、そっちの方へ行かないで、河川局はまたもとに戻ってしまいました。公共事業費は一般会計で年間10兆円近くありますが、その9割までも国土交通省で持つようになってしまった。こういう大問題が残ったわけであります。
それから、総務省という役所が、これまた奇妙な役所になってしまいました。要するに、自治省の持って行き場がないので、行革会議の最終報告をお読みいただくとわかりますが、自治省は、国と地方の調整役なんだというふうに位置づけて、なるべく権限を行使しない、小さくするんだという意味の書き方を何度も何度も書いておいたのです。自治省が入るのは理屈があります。しかし最後の段階で郵政省がまるごと入ってきてしまった。
ですから、公正取引委員会もここにぶら下がるわけですが、大体、行政管理とか行政観察とか、そういう各省全体の調整といいますか、監督をする、内閣府に入らないものをここへ持っていく構想でできた総務省が、現場の一番生々しい郵政3事業までここへ押しつけられてしまったわけですから、わけのわからない総務省という役所ができたわけです。これは残念至極です。
それから、今度の行革の切り口は、御承知のとおり、企画立案機能と実施の機能の分離を図ろうということが一つの切り口になっております。実は行革に先立って、この思想が強く出てきたのは、柳沢伯夫さんとか塩崎恭久さんなんかに入ってもらって自民党でやっておった行革作業で「企画立案と実施はやはり分けなくちゃだめだね」という流れでした。