そして、北朝鮮の方が中距離、長距離両方のミサイルを一度にギブアップするということは考えられないというふうに思います。
それから第2に、そうはいっても日本にとっては北朝鮮のミサイルはとても脅威だという点であります。日本は十分技術力をお持ちになっているわけですから、日本のミサイルを北朝鮮に向ければいいわけで、北朝鮮を照準にあてたミサイルを配備すればいいということではないでしょうか。これは別に攻撃力を備えるということではなく、あくまでもパワーバランスの観点からこういったことをするということです。
ただ、実際に巡航ミサイルを日本が持って北朝鮮に照準をあてるかどうかということについては、北側の核の脅威がどのくらい深刻なのか、どのくらい重大なものなのかということによっても左右されるというふうに思います。3年前、金大中大統領が東京とソウルをもっと接近させましょうということでやったわけですが、今まででかなり状況的には変わってきていると思います。
F 朝日新聞のFです。今の質問のフォローアップということになると思いますが、核とミサイルの問題のうち核については、おっしゃったようにジュネーブ協定でKEDOという国際的なコンソーシアムをつくって、いわば日・米・韓が中心となってバーデンシェアリング(負担配分)で問題を解決しようというディールができたわけだと思います。同じようなことをミサイルに対してもやるのがいいのかどうかという点が質問の1つ。
もう1つは、KEDOのプロセスの中で日本にとっては必ずしもいいイメージ、経験を持っていないと思います。さっき吉さんがおっしゃったチェックブックディプロマシー(小切手外交)の典型的だというふうに受け取られている面が多いと思うのですが、KEDOのプロセスから日本が学ぶべき教訓というものはどういうものなのか教えてください。
キル 日本政府がどのフォーラムを使うのであれ、北側からのミサイルの脅威に対応していくために認識すべきことは、北朝鮮は容易にミサイルの脅威をギブアップしないということです。ですから、これを十分おわかりになった上で、ある資金はむだには使わないということだと思います。対策上もっとはっきりとこのメカニズムを日本として持つべきだというふうに思いますし、より効果的なものをつくるべきだというふうに思います。