また、北朝鮮との関係を改善させる方法として日本ができることは、機が熟したらまず北朝鮮に対して投資をするということです。特に投資先としては長期間かけて行なうインフラ投資をお勧めしたいと思います。鉄道網の敷設ですとか、電力網の敷設、また発電所の建設等々であります。
例えば、インフラ工事というのは長年にわたって行なわれるものですから、その長年の間に北朝鮮側の出方を見て日本としてもフレクシブルに対応できるわけで、あちらの出方を見て日本側のペースを調整する、投資の量を調整するということも可能であります。これが、インフラ投資を優先すべしという第1の理由であります。
第2番目の理由は、インフラは長期間かけて行なうプロジェクトでありますので、長期間にわたって日本のプラスのイメージをずっと投射できるということで、日本にとってはとても有利だということです。インフラはすべての産業の基礎ですから、長期的にいいイメージを出せることは必至です。
第3の理由というのは、インフラ投資と言えば日本の国内世論の支援も取りつけやすい、国内支援も支持も取りつけやすいということです。日本の建設業界を使えるわけですし、日本の人材も送れるということで、多分日本政府としても国内の支持が一番取りやすいのではないでしょうか。
また、北朝鮮ではパワーグリッド、配電網・送電網というのを再建しなくてはいけないという至上命題がありまして、94年のアメリカと北朝鮮の間の合意の枠組みの中でも、核が凍結されたのと引きかえに2機、LWR軽水炉をつくるというコミットがされているわけです。ずっと前にこの原発はできてしかるべきだったのですが、完了期限を過ぎてもまだ完成はしていません。
北朝鮮側の人たちも、たとえ軽水炉が建設されたとしてもなかなかうまく電線網を通して電力供給ができないということがわかっていたわけです。今の段階ですと軽水炉は2007年、あと7年後なのですが、やっと完成するであろうという形になっております。
日本がこの3極の中でも、また北朝鮮と正常化交渉を図っていく上でも、このインフラのカードを切るということはいいのではないかと思います。特に配線設備、電力供給設備、ネットの再強化という面は30億ドルから50億ドルかかるというふうに言われているわけですから、これを長く、例えば2007年まで引き延ばしてずっとやっていくというのは、日本にとってはよろしいことではないかと思います。大きなお金を1回だけ投入するよりも長く効果が続くというものです。
以上、日本がやるべきこと、やらない方がよろしいのではないかと思うことを含めて、両方申し上げました。10分余計に過ぎてしまいましたので、ここから自由討論にさせていただければと思います。