日本財団 図書館


ミサイルのことについて1点申し上げたいのですが、北朝鮮が今まで配備してきたノドンミサイルを全部撤回するもしくは撤退させるといったような期待は、日本は持たない方がよろしいかと思います。

北朝鮮にとっては、外国からの脅威に対して唯一信頼できる形で抵抗できる抑止力というのは、このノドンの配備ということであります。外交上の交渉の材料ということもありますが、抑止力ということでも唯一頼りになるものという位置づけがあります。ノドンというのは、もちろん日本より他国に対して脅威を持っているわけではありますが、これに対抗していく唯一の方法は透明性を高めるということで、査察態勢をしっかりさせるということであります。そして、日本としては北朝鮮がノドンをすべて撤回する、もしくは引き上げてしまうといったようなことは予想できないし、かつ期待もしてはいけないと思っています。

4番目と5番目はまとめて扱いたいと思います。

日・米・韓の3極間でどういった協調ができるのか、かつこの3者間で負担を分担することができるのかということですが、この3国間の枠組みというのは唯一ここ数年うまくいってきた枠組みだと思っておりますので、さらにこれを頼りにしていくということが北朝鮮関係ではよろしいかと思います。

ペリー報告書も出ておりますし、99年のペリー元長官による北朝鮮訪問もあったと。そして、日・米・韓における強い協調がされれば、それだけ北朝鮮に対して強いカードが切れるのだということをペリーさんもおっしゃっております。ほかに、とりたてて実効性が高いメカニズムがないということでありますので、この3極の協調というのはこれからも大事にしていくものではないでしょうか。

3国間の協議のメカニズム及び協調のメカニズムというのが今後うまくいくかというのは、2つの障害があるということを考えていかなくてはいけません。まず、この3国がどうして今までうまくいってきたか。これは既に、今そこに緊急性の高い形で北朝鮮からの脅威そのものが存在していたからです。しかし、この数ヵ月間というのは真剣な形で北朝鮮からの脅威というのはないわけです。とりあえず今でも危険はそこにありますが、昔ほど高い緊急性を帯びている危険ではないということです。

ですから、北朝鮮からの脅威が少し減っているという環境下でもこの3極間のメカニズムはうまく動いていくのかどうかというのは、注目していかなくてはいけないということであります。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION