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まず、金大中大統領が韓国の大統領になって以来、東京、ソウルの関係が緊密化しております。そして、韓国としても、日本に対して、例えば北朝鮮と緩和政策をとればちょっと韓国にも響いてくるのではないかとか、逆に、日本は南北朝鮮が雪解けしてしまうとかえって反日的な態度をとられるのではないかということで、お互いに疑惑もしくは疑念を持っていたわけであります。しかし、この疑念を晴らす、そして建設的な方向に持っていくチャンスが既にかなり見られており、そういった方向に行けるという可能性が出てきております。

北朝鮮政策がいい契機となり、日本が東アジア政策全体を考え直す機会になるのではないかということを申し上げましたが、朝鮮半島及び北朝鮮をめぐっては既に3極間、アメリカ、日本、韓国の間でも話が進んでおります。

そして、日本としても、一方ではアメリカのパーセプションとしての北朝鮮の脅威、これはミサイルの脅威も入っているわけですが、それも勘案しつつ、日本自体として北朝鮮からの軍事的な脅威は一体これからどういうものになるのか定義しなくてはいけません。

日本の北朝鮮政策というのは大きなファクターになり、大きな影響力を持ち得るということです。そして、それが結局いや応なしに日米間の同盟関係もしくは安全保障関係というところにまで影響が入り込み、日米間のいわゆる相性の問題についても、ある程度変化が出てくるかもしれません。すなわち、こういった展開の結果、最終的に若干ではあるが日米間の安全保障関係にも変化が起こり得るという意味合いを持っております。

第3の点として、北朝鮮政策が日本にとって国際社会においてプラスのイメージを出すのにいい機会になると申し上げましたが、その意味するところは、日本のとる北朝鮮政策というのは人道的側面、政治的側面、経済的側面、すべての側面を調和立てて組まなくてはいけないということです。

拉致事件もある、人道的な側面もある、森総理も国会で発言なさっておられる問題もある、またミサイルの脅威も含めて軍事的な脅威もあるということで、ありとあらゆる問題を調和立てて1つの北朝鮮政策にまとめあげなくてはいけない。もちろんこれには安全保障の側面も入るわけですから、そのまとめ方いかんによって日本のプラスのイメージを国際社会に売り込んでいくことができるということです。

 

 

 

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