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現在はまだアメリカでどの人が次期大統領になるかわかっておりませんが、新政権が樹立されますと、クリントン政権が今まで施行してきた東アジア政策、なかんずく北朝鮮政策については若干でありましょうが、見直し程度は行なわれると思います。内容が大幅に変わるということではありませんが、少なくともこの8年続けてきたアメリカの政策についてレビューが行なわれるということになると思います。

既にアメリカから1、2のリサーチペーパーが出ています。1つは外交評議会から、もう1つはアーミテージ共同報告ということで出ておりまして、これは東アジア政策の提言ということで次期大統領に対して出ているものであります。

もし共和党政権になりますと、北朝鮮等に対する今までのような緩和的なやり方は少し変わってくるということで、もうちょっとは厳しくなるのではないかという予想も立ちますし、かつ北朝鮮に対してより互恵性を求めるといったような動きも出てくるかもしれません。しかし、今まで展開されてまいりました北朝鮮に関与するという方針自身については、今や逆戻りさせることができないほど確立されてきたと思います。

また、アメリカの新政権の対外政策ということになると、国内政策をとりましても対外政策をとりましてもより政党色の強いものになることは必至だと思います。一応共和党は上下院ともに過半数は持っていながらも、民主党との差というものは本当に僅差ということになっておりますので、接近しているがゆえに党派色が強くなってしまうということは否めないと思います。

朝鮮半島について一番大きな変化を遂げているのは北朝鮮そのものであります。最も複雑な課題を抱えているのは北朝鮮であるということで、私に言わせれば金正日は非常にハイリスクのかけ高の高い大きな「実験」を今展開しているのだと思っております。いろんな変わり行く要素が絡んでおりまして、その解決を一度に北朝鮮はもたらさなくてはいけません。

まず2国間の対米関係、対日関係をどのように持っていくのかということもありますし、対中、対ロ関係の再調整も余儀なくされております。ほかにも他国間との関係がありますので、その辺の対応も迫られているということで、本当に複雑な課題を北朝鮮は現在抱えております。

私のアメリカ人の友人で、北朝鮮に40回以上も行ったという人がいます。この人はこの間ピョンヤンから帰ってきたばかりなのですが、彼の言うところによりますと、現在テクノビューロークラートですとか、いわゆる官吏の北朝鮮の人々というのは、本当にアメリカや韓国や日本が対北朝鮮政策を変えてきたのかどうか、その辺を知ろうと思って日々格闘しているということであります。

 

 

 

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