吉さんは今年の3月から私どもの財団で研究を始められまして、再来年、2002年の3月まで日本に滞在して研究を続けられる予定になっています。今回は急きょ朝鮮半島情勢が目まぐるしく動いたものですから、日本はそれにあまりあおられてはいけないのではないかという吉さんからのご指摘がありまして、こういう形で皆さんにお集まりいただいてセミナーを開催することにいたしました。
1時間ほどキルさんからお話をいただきまして、その後1時間質疑応答の時間を設けております。皆さんさまざまご質問等があると思います。ぜひ活発なご議論をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
2. 講師報告
キル 本日はおこしいただきまして誠にありがとうございます。私は東京財団の委託を受けまして、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)についての大きな政策に関する報告書を現在作成中ということで、日本に滞在しております。私の日本語はまだちょっと問題がありますので、きょうは通訳を介して英語で話させていただきます。
本日のセミナーの準備にあたり、私の頭の中を去来したことがあります。まず、外国人として外国の外交政策について何かを言及するということは、あまりよろしくないし、変にお思いになる方もいるかもしれません。ですから、この点で慎重にいきたいと思っております。
今回私は2つの役割を持っておりまして、東京財団の研究員を務めているとともに中央日報のジャーナリストでもあるということです。どうしてもジャーナリストの性として論議を呼ぶような問題、挑発的な問題を追いがちです。本日の講演の中でも挑発的になるかもしれないと思いまして、事前におわびを申し上げておきます。
日本と北朝鮮の今後の関係についてということでありますが、多くの専門家の方が日本の意見というのがあまり聞かれないのではないかと言っておられます。私としては、今回は東京財団の公式な見解ではありませんが、あくまでも個人的な見解として、日本が北朝鮮対策を考える場合にはかなり思慮深くいく方がよろしいのではないかというトーンでお話を申し上げたいと思います。