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C 国際問題研究所のCでございます。先ほど陳水扁を支持した財界人グループがあったということでございますが、そういう人たちはどういうふうに支持政権をみているのか、そういうことを標傍しなければならないということは、今陳さんを支持した財界人からの、経済界の圧力があって、そういうふうになっているというふうに理解したほうがいいのか、それともそういうことに関係なしに景気が悪いから何とかしなければいけないと早く政策を運営するのが重要なんだという判断の下に陳水扁が動いているのかというのが1つ。

それからもう1つ、全然違う話があるんですが、今の先生の話でよくみえなかったのは、陳水扁としては手応えがあるというような気持ちがあるというようなお話もございましたが、一体これからどういうふうにして4年間政権を掌握していくか、4年間政権を担当していこいうとそういうストラテジーが僕は、いかに陳水扁が若いとはいえあるんだと思うんですが、どういうふうに考えてそのストラテジーに乗っていけば、今の動きはどうなるのかというふうなところをお聞かせいただきたいんですが。

 

松本 まずその財界の問題ですが、私が知る限りなのですが、選挙のときに陳水扁を支持していた人たちが強硬に政権に対して異議を唱えて、路線変更を迫るというような状況はみえておりません。むしろ、かつて選挙のときには国民党の連戦氏を支持していた業界団体の代表者、選挙後には人事の入れ替わりもあったのですが、そういった人たちが何らかの会合で総統と会う機会などを通じて意見を述べる、あるいは総統に意見を言いに行くといったような形が中心ではないかと思われます。

陳水扁氏を選挙のときに支持した財界人というのは、確かに国民党政権下で発展は遂げてきたわけですが、しかしながらそれほど政府との関係が深かったとはいえないと思うのです。彼らは自分たちの努力の末に国際的な競争力を高めていって、それを政治的な発言力に変えていったような、むしろ国民党に頼らなくてもいいだけの力をもった人たちというような印象を受けております。彼らが陳水扁氏支持に回った人たちと考えられるのですが、現在の状況ではこの人たちが陳水扁から離れる、あるいは政策の転換を強く求めるという状況はみられないと思います。

それから、今後の陳水扁の戦略なんですが、この点について彼自身がどれだけ今後の明確なものをもっているのかというのはちょっと私にはわかりません。1つ言えることは、福祉拡充という目標に関しては決して捨てたわけではない。ただやはりこの4年間時間はあるわけですから、その間に実現していこうという考えをもっていると思います。

 

 

 

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