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彼らも本当は連戦さんを推したかったんだけれども、どうも連戦さんの票が伸び悩んでいて、ちょっと難しそうだということで、陳水扁氏への支持を固めたといった報道がなされておりました。しかし、私もそれ以上のことはわかりません。

それから、いわゆる黒金政治、すなわち台湾政治における暴力と金の結びつきの問題についてですが、これは経済的にも健全性をゆがめるものであるし、それから政治的にも民主主義の観点から問題があると批判されています。そして、陳水扁氏もこの黒金政治の打破を公約に掲げました。新政権でこれを担うのは陳定南という司法部長で、当初彼と調査機関の側との関係にはギクシャクした部分があったようですが、現在ではかなりその方面での捜査の手も広く及びつつあるという印象を受けています。先々月には国会議員にも捜査の手が及んだという状況にありまして、今後もこのような動きが進むのではないかと思われます。

ただ、黒金政治というのは暴力と金が絡んでいるのですが、このお金の動き、あるいは捜査を強めた結果どういうインパクトが市場に及ぼされるのかということが非常に問題になるわけです。この黒金がらみの企業というのは大体経営が不健全でして、ちょっと間違えば不渡りを出すという状況にあります。ですから、黒金政治という政治問題に対する対応を急ぎすぎたならば、下手をすると経済面で今の景気の状況をさらに悪化させかねないといった危険性をはらんでいると思われます。

それから、今後も手を緩めず捜査を進めるものと思われるのですが、難しい部分もあります。例えば、国会議員のなかに黒金がらみの政治家というのがたくさんいるわけですが、その1人が立法院の財政委員会の代表者になりましたし、また台湾にはいくつか暴力団の組織があるんですが、天道盟という組織のボスといわれている羅福助という人物が司法委員会の代表者になっているというような状況です。このようなことはそれ自体が問題なのですが、立法院のそういう人たちの介入がなくして、どれだけ黒金政治の打破というものが進められるのかも1つの問題なのではという気がしております。

 

司会 ほかにご質問があれば、どうぞ。

 

 

 

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