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今回内閣改造があったときに、私自身も気になりました点は、中国の対応と、それから軍が本当にどう反応を示すのかということでありました。確かに、今ご指摘がありましたように、国防白書に関しては、軍はそれなりの対応をとったのですが、新内閣発足については、中国側にはそんなに大きな動きはなく従来通りのものであるという見解を出しましたし、また中国側でも一応対応を協議する会議は行うがそんな大きなものではなく、かつて李登輝氏が二国論を出したときと比べるとそれほどのショックを受けたわけでもない、といった報道もなされておりました。

そういう意味で、中国との関係というのはそれほど大きく変化はないのと思うのですが、軍については正直なところちょっと今の私にはまだわかりません。と申しますのは、国防部長が今回の件に対して態度を表明しているとか、軍の意見を具体的に代弁する形で何か言っているというのは、私自身はまだつかんでおりませんので、陳水扁氏と軍の関係の現状がどうなっているのかについては、今のところちょっとわかりません。

ただ、少々話はそれますが、ここ1、2週間の状況というのは、台湾は本当に経済一辺倒で、中国のことなんて忘れているかのようだ、また台北を困らせるようなバルーンを大陸側も上げていない、というようなそういう話も聞きました。とにかく、今のところは中台関係の大きな変化はなく、国防白書の発表のインパクトにつきましても、やはり従来の枠で捉えられるものと考えられているのではないかという印象は受けております。

 

司会 ほかにご質問等ありましたらどうぞ。

 

B 李登輝さんの選挙のときの立場についてお伺いします。連戦さんの支持であると思われていましたが、本当は陳水扁さんを支持していたのではないかということですが、そのへんはどうなのでしょうか。

それから、陳水扁さんは黒金政治の追放ということを公約として挙げていましたが、この公約の進み具合についてお伺いしたいと思います。

 

松本 まず李登輝氏の選挙のときの立場の問題なんですが、これは選挙直後台湾を研究している人たちの間でも、いろんな話が飛び交っておりました。しかし、実際どうだったのかという情報は、はっきりとはわかりません。ただ、選挙直後に李登輝氏と接触のあった研究者の方によりますと、非常に結果には満足しておられたというような話はありました。それから、かつて李登輝さんと非常に関係の深かった財界人が選挙直前に陳水扁氏の支持を表明しまして、具体的には奇美グループの許文龍氏といった方が挙げられるわけですが、先日インターネットで見た記事によりますと、許文龍氏らの財界人は早い段階に陳水扁の支持を決めており、これは2月ぐらいだったとのことです。

 

 

 

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