日本財団 図書館


いずれにせよ、新政権としては恐らく建設停止に持ち込みたいのではないかと思われます。その点で先日台湾プラスチックという大手企業の王永慶氏が建設停止を支持するという立場を明確にしたことはプラスに働くのではという気がいたします。しかしながら、今後やはり電力不足が起こるのか起こらないのかという問題を軸に、経済界の理解をどれだけ得られるか、建設中止への支持をどれだけ広げられるのかというのがポイントなのではないかと思われます。

そして4番目に挙げておきましたのは、国民年金等の福祉問題であります。特に国民年金については、現在行政院の政府のなかでも意見がまとまっておりません。2つアイデアがありまして、1つは保険料を徴収する形のもの、もう1つは保険料を徴収せずに財政負担によるものであります。後者につきましては、現在台湾の財政は非常に苦しい状況にあり、特に去年の地震でかなり復興費用の面で負担が大きくなっております。そういった状況で、現在政府内でも、増税を行わないという前提の下では、やはり福祉政策の拡大は困難であるというような見解がまとまりつつあるようであります。頼英照副院長も、確かに弱者に配慮せねばならないが、実務的な観点で考えて限られた資源を有効に活用しなければならないといったようなコメントを残しております。従いまして、やはり経済発展優先で福祉はしばらく据え置かれることになるのではないか、すぐには動きはなさそうかなと思われます。

さて、それでは最後に政局全体について触れさせていただきたいと思います。繰り返しになりますが、今回の内閣改造を経まして本格的な民進党政権としての再出発を果たしたといえると思います。しかしながら国会での状況、つまり国民党過半数という状況は変化がないわけです。それでは、この状況がどこまで続くのかということになるのですが、やはり来年末、大体11月末から12月初めではないかといわれておりますが、次期立法院選挙が行われるまでは、新政権の手詰まりという状況が続くのではないかという気がいたします。

国民党は内閣不信任案は提出しないことを表明しているのですが、実際国民党にとってみましても、今解散して選挙に打って出たところで、本当に過半数を確保できるのかという問題はやはり続いているのではないかと思われます。一方民進党の方としましては、うまくいけば過半数、あるいは過半数とはいかなくても何とか第1党の地位を確保して、自己主導の連立与党を形成したいというのが本音ではないかと思われます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION