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まずは来年度予算案ですが、これは早ければ今週中にも再提出されるということが言われております。先日行政院で修正案が通過したのですが、全体の規模は変わらないようであります。ただし、これまでに総統と副総統の給料が高すぎるということでそれがほぼ半減されたこと、あと社会保険がらみの補助予算が調整されたといわれております。そしてその分の浮いた金額が経済建設に移されたということが指摘されております。修正案ではやはり経済発展が優先で、社会福祉はしばらくそのままという総統の意向が反映されたものになるのではないかと思います。むしろ問題は、これがどのくらいのスピードで通過するのか、また通過するのかどうかということなのですが、現在その見通しが立っておりません。ただ、国民党もいつまでも予算案を止めていたのでは、やはり世論の叱責を受けることになるかと思います。したがって、何とかゴタゴタの末通過することになるのではないかと思われます。

そして2番目には、最も経済界もそれから一般市民も期待している部分だと思うのですが、株価の安定という課題があります。陳総統が就任して以降、政権内部の不調和あるいは政局の不安定というものを受けて、株価は下がり続けておりますが、唐飛行政院長の辞任を境に6,000ポイントの大台を割り込みました。昨日ちょっと戻したようですが、やはり5,500ポイントぐらいを巡る攻防というところで、まだ株価が安定してさらに上がるといったような状況はみられておりません。

このような株価の低迷については、政局の混乱をはじめ、原発論争、さらには政権交代による先行きの不透明感といったような国内的要因が挙げられます。さらに、国民党政権の下で、政権との非常に深い関係を背景に急速に充展、拡大を続けてきた新興の企業グループが、実は政権交代以降軒並み経営難に直面しておりまして、それに対する懸念といった要因がもう一つの国内要因として挙げられるかと思います。

それに加えて、国際的な要因も存在すると思います。最近ではコンピュータ関連企業の業績の見通しが下方修正されたことからアメリカの株価が下落したということ、それに原油価格の高騰や中東情勢の緊迫化など、そういった状況があったかと思います。このような国内的、国際的な要因が一緒になった形で、台湾の株価の低迷をもたらしているのではないかと思われます。ただ、このような状況が続きますと、やはり経済界の不満のみならず、民間の間にも政権交代は失敗だったのではないかといったような空気が広がりかねませんし、そうなると陳水扁政権にとっては大きな打撃になると考えられるわけです。

 

 

 

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