日本財団 図書館


さて、このような布陣でスタートした新政府でありますが、早速事態の打開策に乗り出しております。まず張俊雄行政院長は、就任直後に国民党が撤回を求めておりました来年度予算案を撤回し、修正した上で再提出することにしましたし、唐飛氏の辞任の引き金になったといわれる第4原発問題につきましては、タイムスケジュールはないとして拙速を避ける姿勢を示しております。

このような新内閣の対応に対して、国民党は暫時倒閣、すなわち内閣不信任案の提出は見送り、また親民党も自ら積極的に倒閣を主張するようなことはしないという態度をとっております。そして内閣改造後、その翌週には財経小組拡大会議という経済関係閣僚会議が開かれております。この小さな組というのは、グループという意味であります。この閣僚会議は、前内閣の下では院長の唐飛氏が召集し代表者を務めていたのですが、今回は副院長の頼英照氏が代表者に就任しております。激務である行政院長ではなくて、副院長が中心になるということで、機動性という点からも経済方面での行政能力がアップするのではないかと思われます。

そして、先週末には陳総統も参如して、このグループの拡大会議が開催され、8項目もの経済振興策というものが打ち出されています。経済界のなかには、国民年金問題と関わって増税が行われるのではないかというような考え方もあったわけですが、それに対しては絶対に増税はしない。また金融業の営業税も現行は2%なんですが、これを免税にする。それから構造不況産業に、大規模な政策融資を行うといった政策などが打ち出されたわけであります。つまり、これによって経済発展優先というスタンスを明確にしたわけですが、これらの措置に対して経済界の側もこぞって歓迎の意向を示しているというのが現伏であります。

さて、それでは今後の新政権の課題と展望という点についてお話しさせていただきたいと思います。いずれにしても、本格的な民進党政権というものが誕生したとはいえるわけですが、その現状をみますとやはり難問山積でありまして、前途多難といえると思われます。ですが、まずは政局の安定と経済発展という方針の下で、行政院長が野党との関係改善を図っていく、そして副院長が中心になって経済界や市場の信頼回復を担うという形になるのではないかと思われます。

そこで、今後の課題についてですが、とりあえず4つ挙げられるのではないかと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION