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ただ、少し雑談をさせてもらうと、ミクロ取材というのは、これはここだけの話ですが、比較的財界人のスキャンダルとかそういうことが非常に好きな雑誌というのはありますよね。最近あんまりそういう記事に対して反応がよくないんですよ。だから、ある意味で確かに社会のマーケット化の中で、ミクロ記事というのは書きやすくなっているんですね。

というのは、結局会社の人は書かれて嫌なのはなぜかというと、誰かの人事に引っかかるからですよ。社長の人事か、担当常務の人事か担当専務か副社長か、サラリーマンはそれしか考えていないですから。それは断言しますが、そういう人種の人たちとやる中で我々にとっては、我々はたまたまそういう雑誌じゃないということもあるんですが、そこらへんとのやりすぎというのは、いやなことだったんですね。しかし、個人的には大変興味があったりして、扱いにくいものだったんですよ。

ところが、実は最近財界人、経済人のゴシップをそのまま扱った記事というのは、少し世間から感応度が悪くなってきて、そんなことよりも儲けていればいいじゃないかというふうに変わってきた。大体不祥事のあるところは儲からなくなるんですが、そうでない例もあるんですね。象徴的な例ははっきり言いませんが、ある商社の会長さんが批判されたんですね。個人的なことなんですけどね。個人的なことだからいいと思うんですけど、そうしたら珍しく広報が何もしなかった。個人的なことだから。それあたりが歴史の転換点なんですね。要するに個人的な資質というのは、そういうことはいいんだと。儲ければいいんだと。

多分そういう時代かくると、企業側もオープンに対応しなければならない。それは儲かっている儲かっていないということは株主からも、お金を貸してくれている人にも本来ちゃんと説明しなけりゃならないことですからね。ただ、今まで1つの壁があったのは、そっちのほうをガードするあまり、企業のほうが、利潤のほうに目が向かなかったというか、利潤のほうも取材するのを邪魔したと。それはそうですよね、今アナリストはセグメント情報、各部門の利益を出せというけど、それ出すのはサラリーマン的には一番嫌ですよね。どっちの常務が儲けてるんだという話がすぐわかるわけだから。そうするとその次の社長も読めるしというとね。

 

 

 

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