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そういうサラリーマン社会も壊れていかないと、なかなか普通アメリカ的なものにならないでしょうな。それはアメリカのああいうふうな転職社会があるときに、また数字ってものは我々が思っているよりずっと意味があるんでしょうね。だって数字が悪くたって、会社つぶれませんものね、日本の場合は。何となく永らえて、だんだん小さくなっていくということはあるけれども。

そこらへんの違いというのはあるんで、実はミクロというのはもろもろのことが大変で、経済記者としては費用対効果がなかなか合わないんですよ。合っている人もいるんだけど。

それからその次の、G7の問題とか景気がよくなると、これはおっしゃることももっともだと思うところもありますが、これはこういうことじゃないですかね。さっきの表現の話に戻してしまったほうがわかりやすいと思うんですが、森首相は大変になったって記事が連日出てますよね。日本にとって森首相が大変になったほうがいいのか、辞めてしまったほうがいいかという話になってしまうと思うんですよ。

で、それは1つは表現の問題として、必ずG7で、景気の話はともかく、やっぱりその前にこれ以上の円高は困るなみたいな一種のムードが出てくる。そこのところに対して、原稿が書きやすいから、やっぱり表現しやすいからということが第一義的な理由でね、やっぱり勝ち負けってものがあると。

それからもう1つは、勝ち負け論ていうのは何だというと、僕もほかの国とは違うと思うんですが、やっぱり政治ですよね。アメリカに言うことを聞いてもらえなかった政権というものをどう考えるか、ということが常に頭にあるものだから、そこは属国的な記事ではありますが、そこで勝ち負けを書いてしまったほうが、それは経済論からみて離れていてもやりやすいと。

そこのところで今日のテーマとしても、質問へのお答えからすれば、便利だからやってしまっているというわけじゃないんだけど、そういう表現をしたほうがやりやすいと同時に、この単一民族ではみんなそう思っているのよ。違うこと考えている人が1人もいないくらいね。やだな円高はって思っているときに、やっぱりG7があって、はずされればやっぱりそれは負けるし、アメリカにそんなことも聞いてもらえないんだったら、そりゃあこの政権もそう長くないだろう、というような雰囲気の中で記事が書かれることは事実だし。あと、例えばG7の発表資料を読むときも、まずそれに引きずられるということじゃないけど、まずそういうふうな報道がされたり、そういうふうな受け止め方がされたのだと思います。どうもありがとうございました。

 

司会 お時間となりましたので、本日のセミナーはここで終了させていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

 

[文責事務局]

 

 

 

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