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これは多分ますます激しくあと10年ぐらいは変わるだろうと思います。

先ほど外貨準備高、あるいはマネーサプライの話をしましたが、経済人が関心をもつ指標はめまぐるしく変わっていくと思うんですよ。省庁の再編が起こったときに、どういう統計をつくるだろうか。日本は縦割り社会で、官庁同士が仲が悪いのと同じように統計同士も仲が悪い。その2つが一緒になったときにどうなるのかなって、まだそこまで考えていないでしょうがね。

これは、今後どんどん変わっていくと思うんですよね。官庁がどうであれ、経済社会のほうが変わっていきますから。そうすると、本当はそうじゃないかもしれませんが、このお話のねらいといとしております経済研究をしておられる方、研究所の方は、非常に大きな統計自身の意味をとるという作業に追われて、それもいいことかなと思ってしまわれている。一体何が本当なのだろうかというそこのところを、私も今の立場でいいますとそういう原稿を受け取る立場ですが、考えないとトンチンカンな議論をして終わっているんじゃないか。

ただ、さすがに統計とは何だ、特に宮庁統計とは何だというと、やっぱり議院内閣制でありますから、最終的には国会議員を説得する単純な装いというか、そこがやっぱり日本の統計の本質ではないでしょうかね。ただ、それはだめだと、そんなものは統計でないという経済議論もあっていいと思うし、そのへんのところはご研究の中で考えていただきたいと思います。例えば、倒産統計なんていうのは、どうしたことか帝国データバンクと東京商工リサーチという、純粋民間企業の統計件数と債権総額が堂々と新聞の一面を飾りますよね。

よく1,500件を1つのラインにして、月に1,500件超えたら危ないぞとか言って、金融恐慌中はむしろ件数が少なくて、額のほうが大きくなっていったんですが、でも1,500件という基準がどうやって決まったんだろうというと、帝国データバンクと東京商工リサーチが競争をして、地方に支店をつくったんですね。支店網ができるまでは数が小さかった。もっとも実際には1,500は比較的生きている信ぴょう性のある数字なんだよね。20年、15年ぐらいの先輩記者は「そんなのそうだよ、倒産の数なんて全部わかるわけないもん」と言いますけどね。

しかも、じゃあ何が倒産なんだろうというとね、実はどちらかというと銀行の支店長が把握している数字無いんですよね。だけど、金融システム側の全銀協側の発表の数字も違うし、でも概念を考えていくと別に東京商工リサーチのほうがいいかなと。

 

 

 

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